QDI 2015年3月
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&という問題があったが、筆者が開発したAFG(autologous fibrinogen glue)テクニックにより解決された。CGF・AFGとは何か 血液は赤血球、白血球、血小板などの細胞成分とアルブミン、免疫グロブリン、血液凝固因子が含まれている液体成分の血漿に大別される。第一世代の自己血液製剤(PRP、PRGF)は細胞成分にこだわっていたため、血小板の濃度、白血球の有無などを中心に研究されてきたが、納得がいく結論には至らなかった1、2、7~12)。第二世代の自己血液製剤(CGF/PRF、 AFG)は血漿成分に注目した。血漿タンパクの約5%を占める血液凝固因子は血管、血液成分に異変がある場合、血液を凝固させる役割がある。血液凝固には内因性経路と外因性経路があるが、試験管内での血液凝固は内因性経路のカスケードをたどる(図6)。この図でもわかるように、血液は最終的に水溶性のfibrinogenが、トロンビンとCa2+の存在下で水に不溶のfibrinになり凝固する。ガラス試験管に血液を入れた場合、ガラスに含まれるケイ素が内因性経路をスタートさせ、干渉しなくても血液は自然凝固する。これがCGFの発生原理である。つまり、CGFはいかなる添加剤も含まない自己fibrinの塊である。 AFGテクニックは内因性経路をスタートさせにくいプラスチック試験管を用いることで、凝固前の抗凝固剤を含まないfibrinogenを採取し、これを骨移植材料と一緒にガラス容器に入れることにより、骨移植材料が混合されているfibrinを製作する仕組みである(図7)。このAFGテクニックを使えば、どんな骨移植材料であっても簡単に粘性を与え、操作しやすい骨移植材料─sticky boneを作ることができる(図8)。すなわち、AFGはいかなる添加剤も含まない自己fibrinogenである。 表1に、自己血液製剤の相違点をまとめた。CGF、CGFメンブレン、AFG図3 CGF製作専用遠心機Medifuge®(Silfradent社製、Italy)。図4 CGFの塊。図5 CGFメンブレン。図8 AFGで固めた骨移植材料─sticky bone。図7 CGFとAFG。図6 血液凝固(内因性経路)。→→→+Ca2+→ Fibrinogen (Ⅰ) ⅩⅡ → ⅩⅡa ⅩⅠ → ⅩⅠa ⅠⅩ → ⅠⅩa Ⅹ → Ⅹa →→ Prothrombin (Ⅱ) Fibrin (Ⅰa) Thrombin (Ⅱa)→+Ca2++Ca2++Ca2++Ca2+血管内皮の損傷(コラーゲンの露出)ガラス表面との接触(Silica、陰性電荷)CGF(ガラス管)AFG(プラスチック管)58Quintessence DENTAL Implantology─214

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