QDI 2015年5月
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抜歯窩インプラント治療大特集―移植か自然治癒か? 即時か待時か?――移植or自然治癒? Early or Delayed ?―抜歯窩インプラント症例からの検証高橋 恭久岡田 素平太対談臨床1993年 日本大学松戸歯学部卒業1993年 日本大学松戸歯学部第二口腔外科講座入局1998年 オカダ歯科クリニック開業2001年 医療法人美樹歯会設立、理事長に就任2013年 日本大学松戸歯学部歯科放射線学講座研究員1998年 日本歯科大学大学院卒業 歯学博士2002年 ITI スカラー留学 アメリカ・コネチカット大学ヘルスセンター補綴科2005年 ITI ワールドシンポジウム ドイツ ミュンヘン大会 Award受賞 2009年~ 鶴見大学歯学部口腔顎顔面インプラント科非常勤講師2010年~ 韓国 Kyung Hee大学顎顔面口腔インプラント科非常勤講師2014年~ Global Academy of Osseointegration (GAO) International Core Member, Director of Japan Unit所属・役職CID Club理事、ITIメンバー、EAOメンバー、日本顎咬合学会認定医、日本口腔インプラント学会会員、ENの会会員所属・役職AOS Japan最高顧問、日本歯科先端技術研究所会員、日本口腔インプラント学会会員、日本顎顔面インプラント学会会員、AOメンバー、EAOメンバー 略歴略歴岡田素平太Soheita Okada(東京都開業)高橋恭久Yukihisa Takahashi(東京都開業)抜歯窩インプラント治療大特集―移植か自然治癒か? 即時か待時か?―抜歯窩インプラント治療大特集―移植か自然治癒か? 即時か待時か?―組んできませんでした。リッジプリザベーションを行うことで抜歯窩を温存できることが、近年少しずつ明らかになりつつありますので、今後取り組む必要があると考えています。現に、チューリッヒ大学が行っている早期インプラント埋入ケースのプロトコールには、私も大きな関心をもちました。抜歯窩に対する世界的な治療基準として、図1のチャートを提唱したJungおよびチューリッヒ大学が、もっとも科学的論拠に即した基準と手法を構築していると思います。 チューリッヒ大学ではまず始めに、確実にインプラント治療の適応となることが想定される患者に対して、Bio-Oss®とMucograft®を応用したリッジプリザベーションを施行し、インプラント治療に対して迷っている患者には、Mucograft®のみで抜歯窩を覆う。そして、インプラントをしない患者、あるいは、するかわからない患者に対しては抜歯窩に対して特に何もしない、といった形のスクリーニングをしているようですね。すなわち、抜歯窩へのアプローチについて考える際は、どの術式を選択するにしても、将来的にインプラント治療を行うか、行わないかを基準としなければならないのです。ただ疑問に思うことは、抜歯と同時に補填材料を填入して、いつインプラントを埋入すべきなのか、ということです。インプラント埋入時に、抜歯窩内の骨補填材料を摘出するのか、あるいは留め置いたままインプラント埋入するのかの判断が難しいですね。たとえば、抜歯後4~8週の早い時期にインプラント埋入する場合、抜歯窩内抜歯と同時に結合組織と軟組織粘膜のコンビネーションの移植床と非吸収性の骨補填材料にてソフト ティッシュプリザベーションを行う。6~8週後、抜歯窩の周囲に厚みのある粘膜組織の生着および軟組織の治癒を認める。インプラントの早期埋入のタイムテーブルを崩さずにインプラントを埋入できる。抜歯窩の軟組織が獲得されているため、減張切開を入れずにフラップを戻すことが可能。いわゆる歯肉歯槽粘膜境を維持できる。また、早期インプラント埋入時には、抜歯窩内の骨補填材料は軟組織が混入しているためすべて取り除く。インプラント埋入後、最小限の新しい骨補填材料を使用したGBRが、審美部位では必要である。二次手術時、厚みのある粘膜に対してU 字切開を入れ、頬側にローテーションさせる。このローテーションフラップを使用する過程においては、粘膜に厚みが存在することが重要となる。ソフト ティッシュプリザベーションを行うことにより、結合組織の追加を行わずとも審美部位において重要なインプラントネック部周囲の軟組織が保持されていることが確認できる。抜歯+ソフトティッシュプリザベーション施行時術後6~8週術後8週術後20週術後32週図2 Jungらが報告しているソフトティッシュプリザベーションの術式1)。早期埋入のタイムテーブルを崩さず行うことができる。また、この処置を行うことによりMGJの位置を移動させずに軟組織のボリュームを確保、水平的な骨の吸収の遅延、審美的にリスクの高い症例への対応になるとJungらは示唆している(図中症例写真は岡田素平太提供)。26Quintessence DENTAL Implantology─354
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