QDI 2015年5月
3/8

再生医療新法でインプラント治療はどう変わる?木津康博(医療法人社団木津歯科 オーラル&マキシロフェイシャル ケアクリニック横浜、東京歯科大学水道橋病院口腔インプラント科、東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座、鶴見大学歯学部病理学講座)はじめに 平成26年(2014年)11月より施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(再生医療新法)が、インプラント関連の各学会や勉強会で話題になっている。しかしながら、その論調は「どう対策を練れば良いか不安である」「面倒なことになった」といったものが多く、本法はポジティブに捉えられていないのが現状である。 そこで本稿では、再生医療新法を正しく理解し、歯科再生医療、とくにインプラント治療に付随した再生医療を行ううえで“武器”とするための情報を提示していきたい。再生医療新法の概要 再生医療新法は、再生医療等の提供機関および細胞培養加工施設についての基準を新たに設けて、安全な再生医療を迅速かつ円滑に国民へ提供できるようにするために成立、施行された法律である。1.今までの再生医療でどのような問題が生じていたのか? 本新法施行前は、臨床研究を行うために、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」などに基づき国へ手続を行っていた。そのため、臨床で再生医療を提供するまでに膨大な時間と費用が必要であり、再生医療を迅速かつ円滑に国民へ提供できていないのが現状であった。 一方、美容医療では自由診療と称して国への手続きなく、医師の裁量のもとで再生医療を施行していたのも事実である。そのため、再生医療の実態が不透明な場合が多く、安全な再生医療を提供できていた否かは不明であった。再生医療のこれら2つの大きな問題を解決するために、本新法が成立したといえる。2.歯科治療における再生医療新法の該当項目 現在、歯科口腔外科領域における再生医療として、おもに下記の3つが行われている。・歯周病における歯槽骨吸収部の組織再生治療・骨、軟組織欠損部(抜歯窩、嚢胞摘出後、顎骨切除、外傷など)の組織再生治療&表1 リスクに応じた再生医療等の分類と審査委員会*特定認定再生医療等委員会は、認定再生医療等委員会のうち、特に高度な審査能力、第三者性を有するもの。**認定再生医療等委員会は、再生医療等技術や法律の専門家等の有識者からなる合議制の委員会で、一定の手続により厚生労働大臣の認定を受けたもの。分類対象となる医療対象となる再生医療材料設立が必要な委員会第1種再生医療等ヒトに未実施など高リスクなもの(将来的に歯科で行われる再生医療が該当する可能性あり)ES細胞、iPS細胞など特定認定再生医療等委員会*第₂種再生医療等現在実施中など中リスクなもの(近い将来、歯科で行われる再生医療が該当する可能性あり)体性幹細胞など(ADRCsの一部、ASCsなど)特定認定再生医療等委員会*第3種再生医療等低リスクなもの(現在歯科で行わている再生医療の一部が該当)体細胞を加工など (AFG、PRF、CGFなど)認定再生医療等委員会**34Quintessence DENTAL Implantology─362

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です