QDI 2015年5月
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再生医療等の安全性の確保等に関する法律について木村健一(厚生労働省 医政局 研究開発振興課 再生医療等研究推進室 再生医療等対策専門官)再生医療における法整備の動向について 平成25年(2013年)5月に、再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律(平成25年法律第13号)が公布、施行され、再生医療を国民が迅速かつ安全に受けることを可能とするための基本理念を定めるとともに、国が法制上の措置等による対応を講じることが明記された。この法律をもとに、平成25年11月に再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号。以下「再生医療等安全性確保法」という)と、薬事法等の一部を改正する法律(平成25年法律第84号。以下「薬事法改正法」という)が成立し、両法律は平成26年(2014年)11月25日に施行された(図1)。なお、再生医療等安全性確保法の施行にともない、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(平成25年厚生労働省告示第317号)は廃止された。 本稿では、再生医療等安全性確保法を軸に、薬事法改正法による改正後の薬事法(以下「医薬品医療機器等法」という)も含め、法律の内容など再生医療の実用化に向けた厚生労働省の取組みについて紹介したい。再生医療等安全性確保法について 再生医療等安全性確保法の主眼は再生医療等の安全性確保に置かれており、法の対象とする範囲は、臨床研究や自由診療として行われる再生医療や細胞治療である。法律の名称に「再生医療等」と「等」が付けられているのは、いわゆる再生医療だけでなく、細胞を用いた美容治療やがん免疫療法等の細胞治療もこの法律の対象となるためである。なお、輸血、造血幹細胞移植および生殖補助医療は政令で除外されている。ただし、iPS細胞由来の血球成分の輸血や、遺伝子導入した細胞を用いた骨髄移植など、研究的要素の強いものは法の対象から除外されていない。また、治験に該当するものは本法ではなく、医薬品医療機器等法の対象である。 臨床研究または自由診療として実施される再生医療等&再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律【議員立法】平成25年4月26日成立、5月10日公布・施行再生医療の研究開発から実用化までの施策の総合的な推進を図る自由診療臨床研究製造販売再生医療等安全性確保法【平成25年11月20日成立、11月27日公布】【平成26年11月25日施行】再生医療等の安全性の確保等を図るため、再生医療等の提供機関及び細胞培養加工施設についての基準を新たに設ける。細胞培養加工について、医療機関から企業への外部委託を可能に再生医療等のリスクに応じた三段階の提供基準と計画の届出等の手続、細胞培養加工施設の基準と許可等の手続を定める再生医療等製品の特性に応じた早期承認制度の導入患者への説明と同意、使用の対象者に関する事項の記録・保存など市販後の安全対策薬事法改正法【平成25年11月20日成立、11月27日公布】【平成26年11月25日施行】 再生医療の実用化に対応できるよう、 再生医療等製品の特性を踏まえた承認・許可制度を新設するため、改正を行う。安全な再生医療を迅速かつ円滑に多くの製品を、より早く迅速性安全性図1 今後の再生医療の実用化を促進する制度的枠組み。40Quintessence DENTAL Implantology─368
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