QDI 2015年5月
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インプラント修復における余剰セメントの為害性図3-a~f余剰セメントが確認された上顎前歯部インプラント症例2.余剰セメントの除去が不可能なケース 天然歯クラウンのセメント合着法は、クラウン内面にセメントを十分に填塞しセメント合着後、余剰セメントを探針などにて除去する。天然歯には結合組織性付着が存在するため、余剰セメントは組織深部まで入り込まず、そのすべてを取り除くことが可能である。しかし、インプラントにおいては結合組織性付着が存在しないため、余剰セメントは組織深部にまで到達し、機械的に除去が困難もしくは不可能となる12)(図4-a、b)。 Linkeviciusら13)の研究によると、インプラントクラウンのマージン位置が歯肉縁から1mm以上歯肉縁下の場合、余剰セメントは100%存在し、マージン位置が深くなればなるほど余剰セメントの量が増えたと報告された。結論より、インプラントクラウンのマージン位置は歯肉縁上、または歯肉縁に設定することが望ましいとされた(図5-a、b)。さらに、既製アバットメントはイン図1-a スクリューリテイン修復の補綴物の例。図1-b セメントリテイン修復の補綴物の例。図2 余剰セメントによるインプラント周囲組織の炎症が疑われたため歯肉弁を剥離したところ、想定どおり余剰セメントが確認された。図3-a 前歯部4ユニットセメントリテインブリッジのポーセレン破折で補綴物を除去後、ポンティック部に余剰セメントが確認された。図3-b 上顎右側中切歯部インプラントアバットメントの拡大写真。余剰セメントが歯肉溝に存在するのが確認できる。図3-c アバットメント全周にわたり、約3mmの深さまで余剰セメントが確認され、除去した。図3-d 2本のインプラントのアバットメントからいずれも大量の余剰セメントが確認されたものの、インプラント周囲組織の炎症はみられない。図3-e 余剰セメントの拡大像。図3-f 余剰セメントに見られる凸状の形態はインプラント‐アバットメントの接合部を示している。54Quintessence DENTAL Implantology─382

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