QDI 2015年11月
5/8

連載はじめに1 切開線設定および外科手技のポイントの連載2回目は、臼歯部1歯欠損症例である。これは前歯部と異なり、インプラント外科の際には、上顎では上顎洞、下顎ではオトガイ孔に対する解剖学的注意が必要となり、当然それらとの関係で切開線の設定が変わってくる。また、中間欠損か遊離端欠損かによって、そして骨造成の有無によって切開線は異なる。 本稿では、臼歯部1歯欠損症例を分類し、それぞれの切開線設定および切開のポイントについて解説する。 切開の原則2 切開の原則は前号とまったく同じである。臼歯部の歯槽頂切開および歯肉溝切開に#12メスを使用される先生方も多いようであるが、筆者は#12メスではなく、すべて#15Cメスを用いている。 臼歯部の遠心部歯肉溝切開の際は、遠心に行くにしたがって見難くなり、器具の挿入方向も限定されることから、大きく開口させるのではなく、約2cmの開口で、かつ筋鈎やミラーにて口角を引っ張ることにより、視野が確保でき、#15Cメスを咬合面側からではなく、頬側面から入れると、思いどおりに遠心部歯肉溝切開ができる(図1)。切開線設定を規定する因子3 インプラント埋入あるいは二次手術に際しては、抜歯後即時埋入、切開・剥離を行わないフラップレスサージェリーと、切開・剥離を行うフラップサージェリーの2つに大別される。1)フラップレスサージェリー 骨幅、角化粘膜の量を考慮すると、前歯部よりもフラップレスサージェリーを行う頻度が高くなる。Dr. 堀内が基礎から解説!インプラント手術時の切開線設定と外科手技のポイント第2回臼歯部1歯欠損症例における正しい切開線設定と外科手技堀内克啓奈良県開業:中谷歯科医院大阪大学歯学部臨床教授/長崎大学大学院顎口腔再生外科学講座非常勤講師/岩手医科大学歯学部補綴・インプラント学講座非常勤講師図1 臼歯部の遠心部歯肉溝切開の際は、大きく開口させるのではなく、約2cmの開口で、かつ筋鈎やミラーにて口角を引っ張ることにより、視野が確保でき、#15Cメスを頬側面から入れると、思いどおりに遠心部歯肉溝切開ができる。116Quintessence DENTAL Implantology─948

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です