QDI 2015年11月
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Dr. 堀内が基礎から解説!インプラント手術時の切開線設定と外科手技のポイント③下顎臼歯1歯欠損+垂直的骨造成量が2mm未満および水平的骨造成を行う場合 舌側の減張切開を行わず、上顎と同様に歯槽頂切開を角化粘膜の範囲内で頬側に加える。中間欠損では、2本の縦切開を加えるのが原則であるが、骨造成量は比較的少ない場合は、遠心側は縦切開ではなく歯肉溝切開にしてもよい(図10-a、b)。 遊離端欠損では、最遠心残存歯の近心側に縦切開と歯肉溝切開を、そして口腔前庭部から臼後三角前方部へ斜切開に続き、歯槽頂より頬側に歯槽頂切開を加える(図10-c、d)。④下顎臼歯1歯欠損+垂直的骨造成量が3mm以上 頬側減張切開のみならず、舌側の減張切開を行う必要があり、1歯中間欠損の場合は術野確保のための近心側は3歯近心まで、遠心側は第二大臼歯遠心部まで歯肉溝切開を加える(図11-a、b)。 遊離端欠損では、最遠心残存歯の近心側に縦切開、口腔前庭部から臼後三角前方部へ斜切開、歯槽頂中央切開、そして歯肉溝切開を3歯近心まで舌側に加える(図11-c、d)。(2)隣接歯にアタッチメント・ロスがあるかないか①隣接歯にアタッチメント・ロスがある場合 隣接歯のアタッチメント・ロスがなければ、歯間乳頭を温存した切開が可能である。②隣接歯にアタッチメント・ロスがある場合 アタッチメント・ロスがあれば、欠損部に隣接する歯の欠損部により遠い側から、フラップの血行を考慮しフレアー状に口腔前庭部まで縦切開を加える。両隣接歯にアタッチメント・ロスがあれば、縦切開は一般的な2本であるが(図6-a、b)、片側の隣接歯のみであれば、アタッチメント・ロスがある側に縦切開を、そしてない側は歯肉溝切開を行うとよい(図6-c)。(3)抜歯窩の治癒状態 基本的には前歯部1歯欠損と同様に、抜歯部粘膜の凹凸があれば陥凹中央部を切開しなければならず、また唇側および舌側フラップの粘膜上皮が接触する可能性があるので、創部哆開を回避するためには粘膜上皮を取るdeepithelializationが必要となる。また、角化粘膜の連続性を維持したい場合には、前述のように舌側減張切開を行う必要がある。上顎臼歯1歯欠損+サイナスリフト症例における切開線(図9)図9-a~c 図中点線は上顎洞の位置。縦切開は歯牙欠損の近心隣接歯の近心側に約15°のフレアー状で口腔前庭まで加える(a、bの赤線))。縦切開が上顎洞の近心壁よりも近心側でない場合は、フレアーの角度を30°まで広げ(a、bの緑線)、それでも不可能であれば、もう1歯近心の歯牙の近心側に縦切開を加える(c)。abcLearn The Basics of Implant インプラント手術時の切開線設定と外科手技のポイント121─Vol.22,No.6,2015953
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