QDI 2015年11月
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インプラントのためのインパクトの高い論文評価Learn The Basics of Implant インプラントのためのインパクトの高い論文評価1.国内外におけるImmediate implant placementの評価1)海外における評価 1978年に、Schulteにより新鮮抜歯窩にインプラントを埋入した最初の報告がされてから1)、ChenとBuserは、抜歯後のインプラント埋入時期の記述に関し、Type1:即時埋入、Type2:早期埋入(軟組織の治癒をともない4~8週後)、Type3:早期埋入(部分的な骨の治癒をともない12~16週後)、Type4:遅延埋入(6ヵ月以上)の4つに分類した2)。 抜歯後即時埋入インプラントは、遅延埋入インプラントに比べ、処置回数、治療期間の短縮、既存骨の保存にすぐれている反面、抜歯窩の骨の形態によっては、インプラントの初期固定が困難であったり、軟組織の不足、硬組織の裂開により埋入手術の他に追加再生療法が必要となる一面もある。 第5回ITIコンセンサス会議議事録では、十分な審美的結果を達成するには、抜歯窩壁が完全であること、唇側骨壁の厚みが1mm以上であること、軟組織が厚いこと、インプラント部位に急性感染がないこと、抜歯窩の根尖側と口蓋側に初期固定を確立できる骨があること、と言及している3)。2)国内における評価 日本と欧米との保険制度の違いにより、保存できるか、できないかの抜歯基準には違いがある。 日本での一般的な抜歯基準に達した歯の周囲組織は、欠損部が大きく、抜歯後の即時インプラントを行う際、裂開部にGBR、Bone graftなどの増生術を併用しなければならない。また、Thinバイオタイプが多いとされている日本人は、それらの増生術においても軟組織の量が少なく、粘膜の退縮のリスクが大きい。特に審美領域における抜歯後即時埋入インプラントは、審美的要件を獲得するために、インプラント周囲の硬・軟組織に対する付随手術の併用を必要とするため、欧米人に比べ難易度は上がり、本来の適応症は、かなり少ないと思われる。 第5回のテーマは、Immediate implant placement(抜歯後即時埋入インプラント)である。検索キーワードはImmediate implant placementと設定した。抜歯後即時埋入インプラントは、その文字どおり、抜歯直後の抜歯窩にインプラントを埋入する術式である。周囲組織を温存しつつ当該歯を抜歯し、感染部位の徹底的な掻爬と郭清を行い、インプラントを埋入する。通常の治癒した骨に対しての埋入とは異なり、抜歯窩にインプラント床を形成するため、ドリリングの技術と埋入されたインプラントの開窓部には閉鎖が必要となることが多い。なお、即時荷重に関しては、次回にて論じる。一般社団法人 日本インプラント臨床研究会(CISJ:Clinical Implant Society of Japan)サイエンス委員会(笹谷和伸、岩野義弘、武田朋子、佐藤博俊、田中譲治、井汲憲治、水口稔之、若井広明、芦澤 仁)塩田 真(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科インプラント・口腔再生医学准教授)Immediate implant placementのための 重要キーワードベスト論文第5回Immediate implant placement検索キーワード125─Vol.22,No.6,2015957
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