QDI 2016年1月
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特別企画―日本は欧米と異なる?―インプラント治療のエビデンスを再検討しよう企画者尾関雅彦昭和大学インプラント歯科学講座教授 1983年、Per-Ingvar Brånemark教授が考案したオッセオインテグレーテッドインプラントが東京歯科大学において初めて臨床応用されて以来、オッセオインテグレーションを利用した骨結合型インプラントが日本の補綴治療に用いられるようになり、今や四半世紀以上が過ぎた。 骨結合型インプラントを手掛けた歯科医師のほとんどが、欧米で作られた各インプラントシステムのマニュアルに準拠した治療を行い、また欧米の臨床研究の結果をいわゆる“エビデンス”としてインプラント治療の拠り所としてきた事実は否定できない。 日本中でインプラント治療が行われるようになり、すばらしい治療結果や臨床成績が“日本のエビデンス”として確かめられる反面、欧米の歯科医師が欧米人の患者に行った臨床術式や治療結果をそのまま日本人の患者に適用すると、“エビデンス”どおりにはいかないことも経験するようになってきた。 そろそろ日本と欧米とではどのような点が異なるのかを明確にし、インプラント治療のエビデンスを再検討することが、より安全でより安心できる日本人のインプラント治療に結びつくと考えられる。 そこで、公益社団法人 日本口腔インプラント学会 関東・甲信越支部 第5回学術シンポジウム(2015年2月8日・日本歯科大学生命歯学部富士見ホール)において、「欧米人から得られたインプラント治療のエビデンスは、日本人にも当てはまるのか」を明らかにするために、欧米人と日本人との顎骨組織や歯肉軟組織の解剖学的差違や治療経験から得られた差違、あるいは生活習慣、国民性ならびに医療制度の違いなど、この分野での造詣が深い先生方に多角的な観点から検討してもらった。 本企画では、講演のエッセンスを各シンポジストである阿部伸一先生、小宮山 藍先生、荒井良明先生、丸尾勝一郎先生、上野大輔先生、岩野義弘先生、栗原一雄先生に、さらに座長を務められた塩田 真先生と井汲憲治先生に総括を執筆いただいた。イントロダクション290029 ─Vol.23, No.1, 2016
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