QDI 2016年5月
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概論:インプラント治療における歯科用レーザーの応用を再考する 横瀬敏志0341 ─Vol.23, No.3, 2016織深部に到達するレーザーとして認識されている。 この性質は、このあと説明するレーザー光の組織吸収形式の重要な要素となり、レーザーを組織再生法に応用する際、ターゲットとなる器官の存在する位置によってレーザー波長を使い分ける際の指標となる。レーザーと組織の相互作用 レーザーとは、エネルギーを持った電磁波の一つである。このレーザーが組織に照射された時に、組織との間に図2に示す4つのパターンの相互作用が見られる4)。反射と透過に関してはエネルギーが組織には作用しないため、レーザーは生体に対して作用を示さない。これに対して散乱と吸収は組織に対してそのエネルギーが作用し、レーザーに対して生体反応が見られるようになる。 このレーザーのエネルギー吸収パターンは、前述のレーザーの波長が深く関与する。短い波長のレーザーはエネルギーが組織表面に吸収されやすく、長い波長のレーザーは比較的組織の深部まで到達し、その間に散乱と吸収が起こり生体反応を引き起こす。HLLT(高反応レベルレーザー治療)とLLLT(低反応レベルレーザー治療)1)HLLTとLLLTのそれぞれの特色5~7) さて、レーザーエネルギーが組織に対して吸収される時には、そのエネルギーの強さによって生体組織は異なった反応を示す8)。実はこれがレーザーを使用するうえで組織を破壊するのか、あるいは細胞を活性化するか、炭酸ガスレーザーEr:YAGレーザーNd:YAGレーザー半導体レーザー波長が長い(組織表面に吸収されやすい)波長が短い(組織深部まで到達しやすい)図1 歯科で用いられる代表的なレーザー。下段にはレーザーで生ハムを切開した様子を示す。左より、炭酸ガスレーザー(写真はオペレーザーPRO:ヨシダ社)、Er:YAGレーザー(写真はErwin AdvErL Evo:モリタ社)、Nd:YAGレーザー(写真はインパルス・デンタルレーザー:インサイシブジャパン社)、半導体レーザー(写真はLumix2:ウェイブレングス社)。13
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