QDI 2016年5月
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予後10年以上の長期インプラント症例を再評価する 新村昌弘予後10年以上の長期インプラント症例を再評価するはじめに 審美領域におけるインプラント治療の10年以上にわたる長期的な予後に関しての報告は意外に少ない。当院においても最高で24年経過観察している患者が存在するが、転居、転職、転院などさまざまな理由で、インプラント治療を行った患者が10年以上にわたり継続的に検診に来る比率はけっして高くない。 しかし、長期的な経過観察の重要性と、近年インプラント治療の予知性が高まってきたため、インプラント治療後の天然歯の喪失によるインプラント補綴の修正や追加治療、審美的、機能的な問題の発生に対する修正治療は将来のインプラント治療の重要な部分を占めてくると考える。 当院で1998年に行った治療の長期経過と、当時と現在行っている治療の比較を通じて考察を行ってみたい。上顎両側側切歯先天性欠如患者に矯正治療およびインプラント治療を行った症例の長期予後新村昌弘 東京都開業:にいむら歯科医院ITI Fellow、CID(Center of Implant Dentistry)Club 会長インプラント治療を希望して来院。上顎側切歯部にインプラントを埋入。上顎側切歯部にプロビジョナルレストレーションを装着。最終補綴物装着。定期検診を続け、問題なく経過している。その後、現在まで6ヵ月に1度の検診を行っている。初期治療終了後に矯正治療を開始。1998年10月(25歳)1998年11月(25歳)1999年8月(26歳)2000年1月(27歳)2000年12月(27歳)2015年10月(43歳)メインテナンス時最終補綴物装着時プロビジョナルレストレーション装着初診矯正治療インプラント埋入本症例における治療の経過 (1998年10月〜2015年10月)570385 ─Vol.23, No.3, 2016
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