長期インプラント症例を再評価する長期症例から考察するサイナスフロアエレベーション―診断・治療計画・術式・使用材料―はじめに 筆者(山道信之)は、1992年から上顎臼歯部のインプラント治療においてサイナスフロアエレベーションを応用してきた。当時はサイナスリフトと呼ばれ、洞粘膜を剥離・挙上後に口腔内より採取した自家骨を上顎洞内に填塞する術式であった。垂直的挙上数値に対して十分に洞内を填塞できる骨量を採取することが困難であったため、垂直的既存骨量(5〜6mm)が、補綴様式(可撤式義歯あるいはインプラント修復)を決定する条件の1つとされていた。 1993年にMoyらがmaxillary sinus oor augmentationにgraft materials (骨補填材)を応用した論文1)を発表し、筆者も臨床に取り入れた。最初は骨補填材としてヒト凍結脱灰乾燥骨(demineralized freeze-dried bone allograft:DFDBA)を単独で用い、術後の経過も良かったが、垂直的距離のX線測定をより明確にするために、不透過像を反映できる吸収性ハイドロキシアパタイト(HA)を混入して使用した。その後、DFDBAと吸収性HAおよび非吸収性HAを混合して用いるようになった。さらに改良を重ね、2001年にサンドウィッチサイナスフロアエレベーション(3層の骨補填材を用いた方法、後述)の確立へと至った。 今回は、本誌2001年2号に掲載した「DFDBA・吸収性HA・非吸収性HAを混合して用いた両側サイナスフロアエレベーション」2)の27年経過症例と、書籍『インプラントイマジネーション』掲載の「2ウォールテクニックによるサンドウィッチサイナスフロアエレベーション」3)の17年経過症例を供覧し、サイナスフロアエレベーションを長期に成功させるポイントを考察したい。両側サイナスフロアエレベーションへの対応 1992年当時、両側にサイナスフロアエレベーションを行う場合、口腔内より採取できる自家骨量は限られていることから自家骨で対応できるのは片側のみで、反体側では骨補填材で洞内を骨造成する必要があった。しかし、国内ではサイナスフロアエレベーションに他家骨を使用した報告はなく、下山道信之 Nobuyuki Yamamichi 山道研介 Kensuke Yamamichi 山道美季 Miki Yamamichi福岡県福岡市:山道歯科医院80Quintessence DENTAL Implantology─ 0572
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