Quintessence DENTAL Implantology2021年No.4
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Advanceはじめに 前回は無歯顎の骨増生について、All-on-4などのグラフトレスの治療と比較検討した。All-on-4などのグラフトレス治療は、その適応症例に応用された場合、多くのメリットがある。しかし、長期的な予後を考えると、All-on-4を行う場合でも歯槽骨の温存を積極的に考え、必要な部位には骨増生も行い、歯槽骨レベルが揃ったボーンハウジングの中にインプラントを配置することが重要である。 また、ショートインプラントの有用性が報告され、より低侵襲で確実な骨増生が提供できるようになった現在、傾斜埋入よりも応力のかかる方向に適正配置されたインプラントのほうが、補綴的観点からも優位であり、適合性の良い、メインテナビリティのすぐれた補綴装置が提供できることも報告した。 無歯顎の骨増生の後編である今回は、抜歯から上下顎無歯顎になり全顎的に骨量が不足している2つの症例を提示し、無歯顎症例の治療ゴールの考え方とその治療計画、治療の進め方、そして歯槽骨の温存とそれぞれの部位での骨増生について考察する。 無歯顎患者の症状はさまざまであり、その骨増生の手法も多岐にわたるので多くの症例を供覧して解説したかったが、全顎的な治療では資料の点数が多くなるため限られた誌面では能わなかった。筆者の臨床の一部を紹介するに留まることをご容赦いただきたい。Advance症例1歯の傾斜と歯周病による咀嚼障害および審美障害、開口障害に対してインプラント治療で改善した症例 患者は初診時54歳、女性。主訴は、下顎臼歯部の内側傾斜と前歯部の上下顎前突のための咀嚼障害と審美障害、発音障害および顎関節症による開口障害の改善であった。数件の歯科医院を受診後、紹介により当院に来院した。 初診時の状態を図1-a〜cに示す。数件の矯正歯科医院で矯正治療はできないと診断されていた。上下の犬歯咬合関係はⅢ級であり、₅ー₄のベニア修復で暫間的な審美性の回復がなされていた。下顎臼歯部の内側傾斜と上顎臼歯部の外側傾斜によって臼歯部の咬合面の接触はなかった。上下前歯部は動揺もあり、前傾により食物の咬み切りもできない状態であった。セファロ写真、口腔内所見から咬合は低位であると診断した。 以上の所見から、歯の保存的治療による咬合と審美の回復は難しいと診断し、患者の同意を得て、抜歯後インプラントによる修復治療を行うことになった(図1-d〜p)。白鳥清人 Kiyoto Shiratori静岡県開業:医療法人社団 白鳥歯科日本口腔インプラント学会認定専門医インプラント治療のための 骨増生テクニック第10回無歯顎の骨増生②(全顎的な骨増生による機能的・審美的な修復)110Quintessence DENTAL Implantology─ 0602

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