第12回(最終回)リカバリー症例における骨増生AdvanceAdvance チタンインプラントが臨床応用されるようになって50年以上が経過し、特にこの20〜30年間のインプラント治療は、機能してから少なくとも10年以上経過した場合でも高い成功率が報告されている1、2)。しかし、インプラント治療がその合併症から免れたわけではなく、むしろ多くの欠損歯列の治療にインプラント治療が選択されるようになった現在においては、ますますインプラント関連の合併症が増加している3〜5)。インプラントの合併症には、外科に関連した初期の失敗やオッセオインテグレーション獲得後のインプラント周囲炎の発症、力学的問題による補綴装置の破損などが多くある。また、インプラント体の破折、スクリューの緩み、インプラント体のポジションに起因する発音障害や舌痛症、審美性の問題、あるいは担当医とのトラブルによる治療の中断などさまざまである。 今回は、「インプラント治療のための骨増生テクニック」の最終回として、インプラント治療のリカバリー症例に対する骨増生について考察する。 合併症の原因にはさまざまなものがあるが、大きく分けて患者に起因するものと術者に起因するものがある(図1)6〜9)。 リカバリー症例の治療計画を考える場合は、この原因に対する原因療法と、起きてしまった不具合に対する対処療法の両面から考えなくてはならない。その原因は複数のものが複雑に絡み合っていることも多いが、原因の除去とできるかぎりの改善を図り、そのうえでインプラント体の露出や骨吸収、審美の欠落などに対しての対処法を考えていくことが重要である。 たとえば、インプラント周囲炎に罹患してインプラント周囲の骨が吸収してしまった症例では、患者の口腔衛生管理や喫煙などの患者自身に起因する要因の他に、理想的とはいえないインプラントポジションや清掃性の悪い補綴装置、付着粘膜の不足など術者側に起因する場合も多い。よって、インプラント周囲の骨の再生療法やインプラント撤去後の骨増生とインプラント埋入といった対処をする前に、口腔衛生を確立し、禁煙を患者に促し、術者は適正ポジションにインプラントを埋入し、必要であれば適切な骨増生を行い、清掃性の良い補綴装置を提供できるように治療計画を考えていかなくてはならない。 また、インプラント治療のリカバリーは、インプラント周囲の炎症やインプラント体の撤去によって、最初の治療の前よりも骨の状態はさらに悪くなることが多く、このような悪条件の中で再治療は前の治療よりも良い結果を出さなくてはならず、その治療は困難なことが多い。よって、患者には十分にその治療のリスクを説明し、インフォームドコンセントが確立したうえで治療に臨む必要がある。110Quintessence DENTAL Implantology─ 0934はじめに治療計画の考え方白鳥清人 Kiyoto Shiratori静岡県開業:医療法人社団 白鳥歯科日本口腔インプラント学会認定専門医インプラント治療のための 骨増生テクニック
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