Quintessence DENTAL Implantology 2022年No.3_2
6/9

東京都開業:二階堂歯科医院 筆者がはじめてインプラント治療を手掛けたのは、米国・タフツ大学留学中の1995年であった。いま振り返れば、それは長い旅路のほんの始まりであったが、当時初めてのインプラント埋入に右往左往していた筆者に、現在のようなインプラント治療の広がりをどうして予見できただろうか。ペリオドンティストとしてのキャリアの中心として、天然歯の保存に多くの力を費やしてきたが、歯周病患者へのインプラント治療も自身の臨床の大きなテーマであった。そして、その臨床像の典型的な長期ケースを本誌別冊で披露した1)。 本稿では、その続報としての意味を踏まえながら、誌面の都合で掲載できなかった24年経過症例を提示し、重度歯周炎患者に対するインプラント治療、インプラント周囲炎発症について考察してみたい。 インプラント周囲炎の発症原因は多岐にわたる。また換言すると、病因のなかで歯周病の病因と重なる「患者要素」以外は、インプラント周囲炎固有の病因といえ、なかには医原性のものもみられる。筆者は、歯周病とインプラント周囲炎の関係をこの問題がクローズアップされる以前より追ってきたが、初診時より比較的長期(24年間)にフォローアップをしている症例を供覧し、再度考察をしたい。 患者は、資料は現在手元にないが、1991年ころに初診、当時35歳という年齢を考えるとすでに進行した歯周炎を発症していた。筆者の留学からの帰国後、1997年に再初診、侵襲性歯周炎(現在の診断名ではStageⅣ、Grade C)と診断し、すでに多くの歯が予後不良となっていた(図1)。歯周基本治療後、多くの歯が抜歯になることを伝えると患者は抜歯に同意せず来院が途絶えた。3年後の2000年、予後不良だった多くの歯が自然脱落して咀嚼できないという理由で再来院された(図2)。72Quintessence DENTAL Implantology─ 0412はじめに筆者の手がけた重度歯周炎患者に対するインプラント治療、インプラント周囲炎発症についての考察二階堂雅彦 Masahiko Nikaido長期インプラント症例を再評価する重度歯周炎患者に対するインプラント治療、インプラント周囲炎発症についての考察

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る