Quintessence DENTAL Implantology 2022年No.4
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熊本県開業:インプラントセンター九州86Quintessence DENTAL Implantology─ 0598 インプラント治療では正確な検査・診断・治療計画が前提であるが、それを遂行する高度な術者のスキル(技術)も必要である。「成功・失敗の分岐点」としてはとくに後者に目が向きがちで、安全・確実なインプラント埋入にフォーカスされてきた。しかしながら今日、デジタル化の進化によって、CT画像を基にした計画用ソフトでインプラントのプランニングを行い、ナビゲーションシステム(静的:サージカルテンプレートによる・動的:X-Guideによるナビゲーション)で手術が行われるようになったことで、後者についてはおおむね解決が図れるようになった。そこで、筆者が今考えるインプラント治療の成否の分岐点とは、長期にわたり良好な経過を得ることであり、その主たる要素としては、①患者の創傷治癒能力(とくに骨治癒能力)②補綴形態を考慮した理想的なインプラント埋入計画③治療目的に即したインプラントおよび補綴装置の選択④インプラントへの咬合性外傷の回避に欠かせない咬合と顎位の安定⑤良好な口腔衛生状態の維持による感染の防止などが挙げられる。 すなわち、患者によっては経年的に口腔内でさまざまな変化が生じ、追加対応処置が求められることも少なくないため、本稿では長期経過のなかで、さまざまな問題(とくに力学的問題)を起こした症例を提示し、治療経過を振り返り、その原因について考え、どのように対処したかを示すとともに、参考症例を提示し、今後の治療に生かすべきポイントについて考察したい。 さらに、インプラントの予知性は長期間の感染管理が求められるが、それはインプラントおよびアバットメントの表面性状にかかわっているとの意見もあり、ノーベルバイオケア社のTiUniteTMの長期症例での評価とTiUltraTMへの今後の期待についても述べてみたい。症例:59歳、男性初診:2009年2月長期インプラント症例を再評価する─インプラントの表面性状についても再考する─中村社綱 Takatsuna Nakamuraはじめに症例の概要インプラント治療後の長期安定を得るために生体力学的観点から考察する

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