Quintessence DENTAL Implantology 2022年No.5
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Toru Shimoda兵庫県開業:オパールデンタルクリニック0737 ─Vol.29, No.5, 202249 インプラント治療の長期安定のためには、補綴装置と軟組織のカントゥアがガルウイング形状であること、周囲天然歯の歯頚線との連続性、インプラント周囲に非可動性で厚みのある角化粘膜の存在が求められる。しかし、吸収が進んだ臼歯欠損部では口腔前庭が浅くなり、インプラント周囲に結合組織移植(Connective Tissue Graft;CTG)を行っても周囲粘膜の可動性は「頬筋」の存在により改善できず、補綴装置の歯頚部からそのまま頬粘膜へと移行し、メインテナンスにおいてきわめて条件が悪い環境を作り出してしまうことがある。こうなると、インプラントの長期安定は望むべくもない。 そこで、本特集では臼歯部におけるインプラント周囲粘膜の厚みとカントゥアの改善、口腔前庭の拡張を図り、頬筋切離と上顎結節からの結合組織移植を行うオリジナルの術式「頬筋リリースCTG」を詳説する。本テクニックの詳細からこれまでの遊離歯肉移植(Free Gingival Graft;FGG)との違いやその利点欠点、そして適応症の見極め、最後には複数の臨床例を供覧し、読者の臨床選択の幅を拡げる提案をしてみたい。下田 徹はじめに特集2―臼歯部インプラントの長期安定のために――臼歯部インプラントの長期安定のために―▶頬筋リリースCTGの提案

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