第6回(最終回)画像診断から読み解く実践的手術解剖76Quintessence DENTAL Implantology─ 0948Basic(1)パノラマX線撮影法 パノラマX線撮影法(以下、パノラマと略)は管球とフィルムを顔の周りで回しながら少しずつ撮影を行っているため、画像の部位によって描写方向が異なっている。このことはパノラマを読影する際に非常に重要である(図2)。 また、パノラマには上下顎骨から上顎洞、顎関節などの広い撮影範囲が描出されるため、顎骨のスクリーニングに有効である。しかし、パノラマは断層撮影像であるため、断層域に入った領域だけが鮮明に写っている。したがって、パノラマに「異常像が写っていない」から「その患者の顎骨内に病変が存在しない」という判断は誤っていることをつねに頭に入れておく必要がある。 パノラマにおける基本的な解剖構造物を図3に示す。Basic福岡歯科大学診断・全身管理学講座口腔画像診断学分野 教授本連載の概要 歯科ではCT、MRI、口内法画像、パノラマX線画像、そして頭部X線規格画像(セファログラム)が日常的に臨床で用いられている。これらの読影には骨学的な知識と理解が必要である。とくに歯科で撮影される頭蓋は、15種23個の骨が連結してつくられた1個の骨であることから、身体の他の部位の読影とは大きく異なり、より立体的な頭蓋を構成する各骨や筋、脈管等の位置関係の把握が必要である(本連載第1〜4回参照)。 そこで、今回は頭蓋の各部位(解剖学的ランドマーク:医科・歯科用画像を理解するうえで重要な役割を担う骨構造)を正面観(図1-a)、右側面観(図1-b)、左側面観(図1-c)で示す。本連載の解剖学の内容をふまえながら、最終回の「読影」の一助としていただければ幸いである。第1回 インプラント治療に必要な実践的解剖知識:概論第2回 下顎臼歯部へのインプラント埋入に必要な実践的手術解剖第3回 下顎前歯〜小臼歯部への第4回 上顎洞底挙上術に必要な実践的手術解剖第5回 自家骨採取時に必要な実践的手術解剖第6回 画像診断から読み解く実践的手術解剖インプラント埋入に必要な実践的手術解剖解剖学と放射線学の関連パノラマX線画像と歯科用コーンビームCTの画像解剖松浦正朗 Masaro Matsuura香川豊宏 Toyohiro Kagawa福岡歯科大学名誉教授日本口腔インプラント学会認定指導医児玉 淳 Jun Kodama福岡歯科大学生体構造学講座機能構造学分野 准教授インプラント臨床に役立つ実践的手術解剖
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