The International Journal ofOral&Maxillofacial Implants146Quintessence DENTAL Implantology─ 0146FOCUS ONKEY WORDS:歯科の審美性、デンタルインプラント、切歯、歯間乳頭、個人的満足度、リスク因子The Esthetic Outcome of Interproximal Papilla Between Implant-Restored Unilateral and Bilateral Maxillary Central Incisors:A Cross-Sectional Comparative StudyInt J Oral Maxillofac Implants 2022;37(5):1063-1070Luo R/Zhu Z/Huang J/Ye Yすにもかかわらず、過去の文献で、部位を限局して検討されているものはほとんどない。そこで本研究では、片側および両側上顎中切歯欠損にインプラント治療を受けた者を対象とし、歯間乳頭の審美性について評価することを目的とした。抄訳/和田誠大、辻岡義崇大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補撤学・高齢者歯科学分野緒言 前歯部欠損に対するインプラント治療では、治療結果の評価にホワイトエステティックとピンクエステティックが重要である。前者は、技工技術の発展により、天然歯とほとんど差異のない上部構造の作製が可能となっている。一方、後者は、歯の喪失にともなう角化粘膜や骨の萎縮により、上部構造周囲の軟組織の変化を予測することは困難とされている。 軟組織の審美性の評価には、複数の指標が用いられているが、そのなかでも、歯間乳頭の形態と充足は、患者満足度と同様に、専門的な評価の焦点となる。天然歯の歯間乳頭の形態は、おもに歯槽骨頂からコンタクトポイントまでの距離で決まる。単独インプラント修復の場合も同様に、歯槽骨頂からコンタクトポイントまでの距離に影響を受けるとともに、隣在歯のアタッチメントレベルによって決まる。一方、複数本のインプラントで修復する場合は、歯間乳頭の保存・再建がとくに困難であり、審美性が損なわれる可能性がある。これには、さまざまな要因が影響すると考えられており、インプラント修復における歯間乳頭再建の臨床的特徴やリスク因子について、包括的な理解はまだ不十分である。 そして上顎中切歯は、審美的にもっとも大きな影響を及ぼ対象者 包含基準は、(1)片側または両側の上顎中切歯にインプラント治療を受けた者、(2)ボーンレベルインプラントで、かつ上部構造は単冠、(3)アドヒアランスが良好で、定期的にフォローアップできた者とした。また除外基準は、(1)歯肉過形成を誘発する薬剤を服用している者、(2)喫煙が10本/日以上の者、(3)インプラント周囲粘膜炎またはインプラント周囲炎罹患者、(4)軟組織造成を目的に結合組織移植術(CTG)を受けた者、(5)インプラント‐天然歯間、インプ材料および方法研究デザイン 本研究は同済大学病院(中国)の口腔インプラント科において、2015年4月〜2020年1月に、片側もしくは両側上顎中切歯にインプラントによる修復処置を受けた患者を対象とした横断研究である。シングルクラウン・ナローインプラントの片側あるいは両側中切歯部に適応したインプラント治療における歯間乳頭の審美結果─横断的比較研究─
元のページ ../index.html#8