Quintessence DENTAL Implantology 2023年No.2
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第8回プロビジョナルレストレーションの調整と経過観察文特に規模の大きな上部構造を装着した場合、たとえ理想的な被蓋関係が確立できていても生じやすいため注意。3演者論202Basic咬合関係と誤咬の有無 第7回で解説したが、天然歯と同様の接触を与えた際、対咬する歯に咬合痛を訴える場合がある。このようなときは、慎重に咬合接触の強さを軽減し、あらためて症状が軽減するかどうか経過観察を行っていく。また、咬合紙の印記や直視した際の咬合関係に異常がない場合でも、患者が「噛んだ感触が変」「骨に響く感じがする」など、いわゆる違和感を訴えることがある。同じく、慎重に咬合関係を確認し、必要に応じて咬合調整を行う。一方、咬合関係に問題がない場合では、インプラントは必ずしも天然歯のような緩衝機能を有していないことをていねいに患者へ説明し、経過観察にて順応を待つ。 誤咬(咬舌や咬頬)も早期に生じる不具合の1つである(図1)。とくに規模の大きな上部構造を装着した場合(可撤性義歯から固定性インプラント義歯への変化による順応不全)やインプラントの埋入位置の問題、対咬関係により正常な被蓋関係が確立できていない場合に生じやすい。前者であれば経過観察し、後者の場合では誤咬の部位を確認し、上部構造の形態修正を行う。Basic清掃性 清掃性の確立は、上部構造の長期安定性において非常に重要である。プロビジョナルレストレーション装着後に粘膜貫通部を含め評価を行うとともに、形態修正(図2)あるいは補助器具の追加・変更を検討する(図3)。 第7回では、プロビジョナルレストレーションの装着の実際と咬合接触の付与について解説した。今回は、その後の経過観察と形態の調整について解説していく。 プロビジョナルレストレーション装着後、一定期間経過した後に数回にわたって、表1に挙げる種々の問題について対応をとっていく必要がある。102Quintessence DENTAL Implantology─ 0282・咬合関係・誤咬の有無・清掃性・審美性や発音咬合痛の有無、違和感の有無など。特に前歯部領域で下部鼓形空隙が存在する場合に注意。はじめに初回調整時における確認初学者のためのインプラント補綴設計和田誠大 Masahiro Wada大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者歯科学分野大阪大学歯学部附属病院 口腔インプラントセンター表1:インプラントプロビジョナルレストレーション初回調整時の確認事項

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