3演者論202文インプラント手術を行う歯科診療所の割合16.5%2011年(平成23年)(平成26年)要支援1●起き上がり ●立ち上がり1ヵ月当たりのインプラント手術数(本数ではない)2011年31,00311,3112014年25,18924,4382017年27,38324,0142020年30,29124,02735.6%35.0%35.4%2014年2017年2020年(令和2年)(平成29年)要支援1要介護1要介護2要介護3要介護4●片足立位 ●日常の意思決定 ●買い物●歩行 ●洗身 ●爪切り ●薬の内服 ●金銭の管理 ●簡単な調理 ●寝返り ●排尿 ●排便 ●口腔清潔 ●上衣着脱 ●ズボン着脱●座位保持 ●両足立位 ●移乗 ●移動 ●洗顔 ●散髪健康寿命から除外される健康状態手術数施設数1施設当たりの1ヵ月の手術数2.741.031.141.30要介護5●麻痺 ●食事摂取●外出頻度 ●短期記憶 インプラント治療は失われた咀嚼機能を回復する有効な治療法ですが、わが国ではインプラント治療に関する追跡システムが構築されていないため、どのくらいの国民がインプラント治療を受けているのか、その予後がどの程度なのかを完全に把握することはできません。しかし、厚生労働省が3年ごとに公表する「医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概要」1には、インプラント治療に関する記載が含まれています。それによると、2020年(令和2年)における歯科診療所数は67,874件で、そのうち35.4%に当たる24,027件がインプラント治療を行っていて、1件当たりの手術件数は1ヵ月で約1.3件ですので、1年間におよそ30万超高齢社会の今、インプラントメインテナンスの現場はクリニック内だけに留まりません。本リレーエッセイでは、歯科訪問診療に造詣の深い著者陣にそれぞれの視点からインプラント治療への思いを語っていただき、読者の先生方がインプラント治療の予後をひろく考えるきっかけとなれば幸いです。人の国民がインプラント治療を受けていると推測されます(一般病院を含まない調査のため、件数はさらに多い可能性がありますが詳細はわかりません)(図1)。 一方、インプラント治療を終えた患者さんは確実に年齢を重ね、慢性疾患やフレイルなどを原因として、日本人男性は平均9年、日本人女性は平均12黒嶋伸一郎 Shinichiro Kuroshima 長崎大学生命医科学域(歯学系)口腔インプラント学分野図1 インプラント治療を受けた患者は年間30万人程度増加し続けている。(文献1をもとに作成)年の要介護期間があることがわかっています2(図2)。しかし、自分で口腔清掃ができにくい/できない状態になった時(要介護度2以上)(図3)、口腔内にどのような変化が起こるのかについては、インプラント治療を専門的に行う私たちにはなかなか理解できません(読者の先生方の多くは訪問診療に携わっていないかもしれません)。インプラントを最後まで見届ける。@歯科訪問診療リレーエッセイインプラントロジストとしてリアルを知りたい図2 平均寿命と健康寿命の差が埋まらないという現実。(文献2をもとに作成)97図3 要介護状態とは?(文献3をもとに作成)女性男性■平均寿命 ■健康寿命0277 ─Vol.30, No.2, 202373.62歳73.62歳不健康な期間:約12.5年不健康な期間:約12.5年79.55歳79.55歳70.42歳70.42歳不健康な期間:約9年不健康な期間:約9年86.30歳86.30歳#2要介護者における口腔内変化のリアルを知る
元のページ ../index.html#7