東京都開業:甲田歯科医院86Quintessence DENTAL Implantology─ 0622欠損歯列に対する機能回復 超高齢社会を迎え、われわれは片側遊離端欠損が両側性欠損へ移行する時期を少しでも遅延させ、「一口腔の、より長期的な歯列保全を図る」という欠損補綴の目標を意識して対応しなければならない。いかに天然歯を保護し、喪失しかけた歯を保全し、歯の欠損の流れをくい止めるかが重要であるが、日々の臨床は多様である。個体差、個人差のある患者一人ひとりのあらゆる要求に対応していかなければならない。 欠損歯列においては力の問題が大きく関与し、長期にわたる歯列保全は容易ではない。欠損歯列の多くは咬合崩壊をともない、欠損のない歯列と比べて治療の難度がきわめて高くなる。実際の臨床において欠損歯列の起点への対応として、自家歯牙移植とともにインプラントがいかに欠損の拡大防止へ有効であるかを筆者は実感してきた。 一般的に欠損歯列に対しては、適正な検査・診断を行い、欠損が生じた原因を同定し、その原因を除去する治療を行う。原因の除去後は欠損部への補綴が必要になる。機能回復を図る手段には、歯(硬組織)、粘膜(軟組織)双方の上に成り立つパーシャルデンチャーから、硬組織の連結の上に成り立15年経過という基準 今回、15年を長期経過症例の一つの基準と捉えている。それは歯牙移植において15年経過時点でトラブルを生じてくる症例が少なからずあるためである。また、その年月を経過するなかで患者の生活背景の変化とともに口腔内ではさまざまな変化が起こり、個別の術後対応が必要となってくることも念頭に置かなければならない。 いうまでもなく歯を喪失しないようにすることが歯科臨床の第一の目標であり、筆者はそのことを目指してこれまでてつ固定性ブリッジ、さらに歯の移動、歯牙移植からインプラントまで、多岐にわたる選択肢が存在する。それらは単に装置そのものの種類として分類されるものではなく、病態と治療のステップ・予後およびその管理を考えた治療方針に見合った判断が大切である。そして、それぞれの利点・欠点を熟知したうえで最終的な処置方針を選択することが重要になってくる。とりわけ咬合支持獲得への手段という意味では歯牙移植とインプラントが選択肢としてクローズアップされてくる。しかし、欠損が拡大、すなわち大きな欠損歯列になってしまうと、ドナー歯が存在しない場合あるいはドナー歯が存在しても歯数的な限界があるような場合にはインプラント治療が効果的な治療手段となってくる。はじめに長期インプラント症例を再評価する─埋入位置・補綴設計・介入時期─甲田和行 Kazuyuki Kouda歯根破折後の欠損拡大防止を目的としたインプラント治療
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