■治療前1. インプラントを配置するための口腔環境、歯列、咬合の整備2. 術前の組織のフェノタイプや歯槽堤の保存状態に対してどのような再生治療(硬・軟組織保存、造成)を選択するか3. 欠損歯槽堤に対するインプラントの選択・配置と埋入時期・荷重時期の検討4. トータルの治療期間と治療期間中の各ステップでの仮の歯(テンポラリークラウン、デンチャー、プロビジョナルレストレーション)の選択■治療中5. 二次手術の術式選択6. プロビジョナルレストレーションでの完成予想図の修正(追加手術の検討) ざっと羅列したが、おおむね上記のように症例を捉えて、患者の希望を加味して具体的、綿密な説明や相談を行い、決定する。最終的な審美的成功という目標に向かって、可及的にトップダウントリーメントを目指してステップバイステップに確実にこなしていくことが大切である。 さらにいえば、近年のPatient centered、Patient ori-entedの考えに基づいて、できる限りMI(Minimal Inter-vention)を意識しつつ、最小限の手術回数、過剰な介入の回避、トータル治療期間の短縮といった要素も加味することが求められる。 今回、この企画に参加するにあたり各著者の先生方のパートも非常に楽しみにしている。おそらく重なる項目もあろうと思うが、筆者は今回複数歯連続欠損症例のインプラントの配置や、用いるGBR(骨再生誘導法)の術式と材料の2つのテーマを中心として稿を進める。臨床論文48Quintessence DENTAL Implantology─ 0764はじめに 審美領域のインプラント治療の成功の条件とは何か、と問われると筆者は、プロフェッショナルが見ても補綴装置か天然歯かの区別のつけられない仕上がりである、と答えたい(ただし唇側面観に限るが)。これは非常に高いハードルを課すことになるが、それほど高い要求をもつ患者も近年非常に多いと感じるし、少し気を抜くと思わぬ仕上がりとなり愕然とすることが今でもある。それぐらい審美領域のインプラント治療は、難度の高いアドバンスな、いやコンプレックスな治療分野である。 われわれがこの治療分野に対峙するにあたり、自身の持つ治療オプションを組み込んだ治療計画の綿密な立案が非常に重要である。参考になればいいが、筆者の場合、以下の事項を順に検討していくイメージで戦略を練る。インプラントの配置 インプラントによる審美領域の複数歯連続欠損の修復は、単独歯欠損症例とは異なる検討事項が多く存在する。まずは何よりもインプラントの配置に留意する必要がある。筆者は、今まで幸運にも数多くの症例に対峙することができたが、つねに配置には迷いながらその正解を模索してきた。複数歯の連続欠損症例の場合、インプラントは隣接させず、間中田光太郎 Kotaro Nakata京都府開業:中田歯科クリニック大特集審美領域の複数歯連続欠損症例の成功の条件
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