Quintessence DENTAL Implantology 2023年No.6
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0979 ─Vol.30, No.6, 20238383図2 ST(言語聴覚士)による嚥下訓練。 当院は「地域から誰も歯科疾患において取り残さない」をコンセプトに診療を行っています。医院名にも「口腔機能クリニック」と入れています。また、医院とは別で管理栄養士が栄養ケアステーションを立ち上げ、カフェの運営も試みています。このように当院では、歯科医院として最後まで食べられることを支援したいと考えています。 当院のインプラント治療のゴールとしては、インプラントが正しく埋入され、そしてその後に健全な食生活が送れることを設定しています。そのため、インプラント治療後に患者さんが超高齢社会の今、インプラントメインテナンスの現場はクリニック内だけに留まりません。本リレーエッセイでは、歯科訪問診療に造詣の深い著者陣にそれぞれの視点からインプラント治療への思いを語っていただき、読者の先生方がインプラント治療の予後をひろく考えるきっかけとなれば幸いです。年を重ねて、インプラントには問題ないものの食欲が落ちたり、嚥下に問題が起こって食べられなくなったりしてしまえば、当院が掲げるゴールとのズレが生じるため、言語聴覚士や管理栄養士などの他職種と一緒に訪問診療を行っています。現在、訪問診療は週に3日ほどの頻度で、居宅や施設などを回っています(図1、2)。 もともと当院では医科歯科連携や高齢者を中心とした診療を行っており、インプラント治療に関してはここ5年ぐらいで勉強を重ねているところです。訪問診療の場においてはインプラントに関するさまざまな問題を見てきました。たとえば、インプラント周囲押村憲昭 Noriaki Oshimura 愛知県開業:かすもり・おしむら歯科口腔機能クリニック炎の治療法をインプラント治療に長けている先生に教えてもらったものの、いざ訪問先で処置しようとしても、専用器具がない状況では限界がありました。インプラント初心者である私だからこそ、「訪問先でこのインプラントの除去をどう行ったらいいのか」というような多数の疑問が沸いてきました。そして、訪問診療を多く行っている先生方にも尋ねたところ、そのほとんどが私と同様にインプラントに関する多くの知識を持ち合わせていませんでした。私は、現在の課題はここにあり、解決策もここにあると感じました。インプラントを最後まで見届ける。@歯科訪問診療リレーエッセイはじめに─当院のコンセプト図1 訪問診療先での治療風景。#6(最終回)歯科‐歯科連携によってインプラント患者が通えなくなっても地域全体で診ていく仕組みづくりを

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