第1回局所麻酔と伝達麻酔表2 痛くない局所麻酔のポイント麻酔が痛いタイミング針の刺入時麻酔液の注入時骨膜への到達解決策 インプラント治療の成功のためには外科および補綴の双方が大切な要素であるが、まずは最適な外科処置があっての補綴処置であり、外科処置の成功なくして補綴処置の成功はない。外科処置の成功のために何が必要かと問われれば、術者それぞれ多くの答えがあるだろうが、筆者は、手技や材料ではなくもっと根本的なこと、つまり麻酔法や切開、剥離、縫合などの粘膜の取り扱い、そして姿勢、グリップ、ドリリング法などの基本事項だと答える。アドバンスな治療であればなおさら外科処置の基本事項が成功の鍵を握る。そこで本企画では、シンプルな臨床例を取り上げ、【インプラント外科の基本の「き」】の各項目において、おもに動画を用いて掘り下げていく。 第1回目となる今回は、インプラント外科における「麻酔法」について解説する。インプラント治療の外科処置で使われる麻酔法には、局所麻酔と伝達麻酔、静脈内鎮静法、全身表1 麻酔法の種類❶局所麻酔❷伝達麻酔❸静脈内鎮静法❹全身麻酔麻酔がある(表1)が、静脈内鎮静法と全身麻酔は、麻酔科医に委ねられることが多いので、ここでは局所麻酔と伝達麻酔について説明する。 術前の一度の注射で確実に麻酔が術野全体に奏効し、追加麻酔をすることなくインプラント手術の終了後まで無痛状態が継続することで、患者と術者双方のストレスは大きく軽減する。術中に患者が痛みを訴えたり動いたりすると、手術に集中できなくなることもある。また、麻酔が切れてきてからの痛みは患者の血圧上昇をまねき、これは麻酔薬に含まれる止血剤の効力が薄れてくることと重なって出血も多くなり、より手術が行いにくくなる。さらには、痛みにより患者の疼痛閾値が下がり追加麻酔が効きにくくなることもある。 快適な麻酔とは、まず痛くないこと、次に患者にとって辛くない麻酔をすること、そして確実に麻酔を必要な時間奏効させること、である。麻酔が痛く感じるのは、「針の刺入時」、細い切れる針で粘膜を緊張させてすばやく刺入するゆっくりと圧力をかけずに注入する最初は骨膜まで当てずに麻酔奏効後に到達させるBasicBasic110Quintessence DENTAL Implantology─ 0110動画で学ぶ インプラント外科 基本の「き」白鳥清人 Kiyoto Shiratori静岡県開業:医療法人社団 白鳥歯科連載を始めるにあたって快適な麻酔方法を体得する
元のページ ../index.html#5