Quintessence DENTAL Implantology 2024年No.2
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第2回狭心症・心筋梗塞編高血圧狭心症病尿糖BasicBasicBasic102Quintessence DENTAL Implantology─ 0274 今回は狭心症と心筋梗塞についてお話いたします。両者を合わせて虚血性心疾患と呼びますが、多くの場合動脈硬化とそれにともなう高血圧を基礎に発症するので、高血圧編も参考にしていただくと筆者としては嬉しい限りです。 心臓の筋肉(心筋)を栄養する血管を冠動脈といい、狭窄すると狭心症、閉塞すると心筋梗塞を生じます(図1)。狭心症はさらに、労作性狭心症、異型(冠かん攣れん縮しゅく性せい)狭心症、不安定狭心症に分類されますが、近年では不安定狭心症と急性心筋梗塞を合わせて急性冠症候群と呼んでいます(表1)。 労作性狭心症では、運動時に心臓の活動が上昇しても、動脈硬化によって血管内腔に生じたプラーク(脂肪や増殖した細胞の集まり─われわれにとってなじみ深い名前ですね─)のために冠動脈が狭窄し、心筋に十分な血液が供給できなくなって(虚血)、胸痛が生じます。 一方、異型狭心症では、冠動脈が一時的に収縮することによって心筋に虚血が生じるため、運動とは無関係に胸痛が生じることが特徴です。破綻したプラークに血栓が付着することで冠動脈狭窄が急速に進行すれば不安定狭心症、完全閉塞が起これば、急性心筋梗塞を生じます。 治療中に急性心筋梗塞を発症させないことは極めて重要ですが、心筋梗塞の既往(陳旧性心筋梗塞)を有する患者を安全に治療することも同様に重要です。新たな治療法によって、急性心筋梗塞から回復し日常生活を送っている患者や、狭心症発作を有する患者が歯科を訪れる機会も増えています。そこで、歯科治療を行うにあたってこれらの概要を知っておくことは大変重要です。ここでは代表的な治療法についてお話いたします。図1 冠動脈(赤色の血管)は大動脈基部から起こり心筋を栄養する。砂田勝久 Katsuhisa Sunada日本歯科大学 生命歯学部 歯科麻酔学講座こんな患者が来院したら─有病者のインプラント手術における全身管理─ はじめに虚血性心疾患の分類と病態虚血性心疾患の治療

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