The International Journal ofOral&Maxillofacial Implants オーバーデンチャータイプと比較して、臼歯部のインプラント支持型サベイドクラウンによるIARPDには下記のような懸念事項がある。・下顎第二大臼歯部や上顎臼歯部など、臼歯部にインプラントを埋入する場合には解剖学的制約がある。・インプラント支持型サベイドクラウンでは、クラスプによる側方力が排除できない。・遠心遊離端欠損RPDの構造的な回転運動でトルクが発生する可能性があり、臼歯部1本のインプラントがRPDから受ける荷重に耐えて垂直力を支持できるかは不明である。 本後ろ向き臨床研究の目的は、インプラントとIARPDの臨床結果、残存率、成功率を評価し、サベイドクラウンの支持に臼歯部インプラントを使用することがIARPDの治療選択肢として可能かどうかを検討することにある。138Quintessence DENTAL Implantology─ 0482FOCUS ONKEY WORDS:歯科インプラント、インプラント支援型可撤性部分床義歯、辺縁骨吸収、サベイドクラウン、残存率大特集関連研究Jung TW/Yi YJClinical Outcomes of Posterior Implants with Surveyed Crowns for Implant-Assisted Removable Partial Dentures:A Retrospective StudyInt J Oral Maxillofac Implants. 2023 Jan-Feb;38(1):53-61緒言 可撤性補綴装置による部分無歯顎患者への歯科インプラント治療が徐々に増加し、シンプルかつ費用対効果の高い良好な治療術式であることが報告されている。少数のインプラントを使用することで、インプラント支援型可撤性部分床義歯(IARPD)の残存率が、従来の可撤性部分床義歯(RPD)と比較して向上した。IARPDは100%の残存率を示す8つの研究と、90%の残存率を示すわずかに1つの研究が報告され、従来のRPDの残存率は8〜9年後で77%、10年後で71.3%である。 ほとんどのIARPDに関する臨床報告では、オーバーデンチャータイプにインプラントを使用している。反対に、サベイドクラウンによるIARPDのインプラント成功率または残存率に関する報告は非常に少ない。サベイドクラウンを装着したインプラントアバットメントは、従来のRPDにおける天然歯の支台装置と同じコンセプトであり、歯科医師にはよく知られている。また、オーバーデンチャータイプのIARPDと同様にインプラント本数は少なくてすみ、低コストで手軽に利用可能だが、症例数を増やすために、インプラント支持型サベイドクラウンによるIARPDの臨床研究が必要である。材料および方法 対象は2007〜2018年に、補綴歯科専門医(T.W.J.)から両側・片側遊離端欠損に対してインプラント支持型サベイドクラウンによるIARPDの治療を受けた患者とした。 両側・片側遊離端欠損を中間歯欠損に変換するため、インプラントの埋入部位は第二大臼歯相当部が選択され、第二大抄訳/黒嶋伸一郎北海道大学大学院歯学研究院 口腔機能学分野 冠橋義歯補綴学教室インプラント支援型可撤性部分床義歯におけるサベイドクラウンで支持された臼歯部インプラントの臨床結果:後ろ向き研究
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