Quintessence DENTAL Implantology 2024年No.4
5/9

2)。そして、審美領域におけるインプラントポジションのズレは、審美性を決定的に損ねてしまう2、3(図3)。 正確なポジションへインプラントを埋入するには、各症例における補綴設計の基、CTシミュレーションによるインプラントの適正ポジションが設計できていることが大前提であり、その設計したポジションにインプラントを埋入するための正確なドリリングが必要である(図4)。 経験豊富な外科医は、GBRを必要としない下顎の少数歯欠損であれば、サージカルガイドがなくても、多くのケースで適正なドリリングができるかもしれないが、より確実な成功のために、そして経験が浅い歯科医師であればなおさら、すべての症例で安心して正確なポジションにドリリングするために、何らかのサージカルガイドを準備するべきであると筆者は考えている。第4回ドリリングとインプラント埋入の基本 第3回では、下顎臼歯部の基本症例における粘膜切開と縫合、軟組織の取り扱いについて解説した。今回の第4回では、同様の下顎臼歯部のGBR(骨再生誘導法)を必要としない基本症例におけるドリリングとインプラント埋入、硬組織の取り扱いについて詳説する。 ここで重要なことは、第一に正確なポジションにドリリングをすること、次いで硬組織に熱傷などの外傷を与えずに適切な深さ・大きさにインプラント床を形成することである。インプラント埋入では、意図した深さに適正なトルクでインプラントを“置いてくる”ことが大切である。 インプラント治療において注意すべき項目はいくつもあるが、筆者がもっとも重視しているのが「インプラントポジション」である。インプラントポジションの良し悪しでインプラント治療の成功率は大きく変わる1。ポジションが近遠心あるいは頬舌側にズレると、骨壁は薄くなって吸収してしまい、インプラント周囲疾患を誘発する可能性がある(図1)。また埋入深度が不適切になると、清掃性の悪い上部構造形態になりやすく、同じくインプラント周囲疾患を誘発する原因になってインプラントの寿命を短くしてしまう(図 インプラント埋入のためのガイデッドサージェリーには、2000年代後半から臨床応用されているコンピュータ上の設計から作製されたサージカルガイドが多く使われており、昨今では多くのインプラントメーカーから専用ソフトと外科キットが提供されている。 筆者の診療室では、傾斜埋入が必要となる多数歯欠損症例においてコンピュータ上で設計したサージカルガイド(ノーベルガイド)を多く使用してきた(図5)が、少数歯欠損では102Quintessence DENTAL Implantology─ 0622BasicBasicBasicはじめに正確なポジションへのドリリングインプラント埋入における3種類のガイデッドサージェリー白鳥清人 Kiyoto Shiratori静岡県開業:医療法人社団 白鳥歯科動画で学ぶ インプラント外科 基本の「き」

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る