第5回内側性骨欠損のある下顎臼歯部単独埋入の基本 本連載では、骨増生を必要としない下顎臼歯部の少数歯欠損へのインプラント埋入における基本について、静止画と動画で解説してきた。しかし、実際の臨床におけるインプラント治療ではさまざまな骨の欠損形態があり、また部位特異的な骨形態と相俟ってその診断と治療計画はより複雑になり、アプローチ法について悩まされることが多い。 そのため今回の5回目以降は、前回まで言及してきた基本の「き」を踏まえたうえで、より臨床的な側面から実際に遭遇することが多い小規模な骨欠損をともなうインプラント治療について、下顎臼歯部から部位ごとに動画を交えて解説していく。表1 インプラント埋入時期の分類(文献1より引用・改変)分類Type 1Immediate placement(即時埋入)Early placement with soft tissue healing(軟組織治癒をともなった早期埋入)Early placement with partial bone healing(部分的な骨治癒をともなった早期埋入)Type 2Type 3Type 4Late placement(遅延埋入)0 インプラント治療の適応症例において抜歯から治療が始まる場合は、抜歯後どのタイミングでインプラントの埋入手術を行うかを検討する必要がある。また、即時埋入を行わない場合は、抜歯窩に対してインプラント治療のためにリッジプリザベーションなどの特別な処置を行うべきなのかなどの検討も必要になる。 抜歯後のインプラント埋入は、Hämmerleらの分類1(表1)から考えると、一般的にはType2(抜歯後4〜8週)の時期が推奨されている。Type1の即時埋入においては有効性が報告されているが2、適応条件の診断が難しく成功率も術者の経験に左右されるところが大きい。また、Type3以降の時期になると、条件の良い症例であれば非常にシンプルにインプラント埋入ができる可能性もあるが、唇頬側の薄い皮質骨の吸収が起こり、骨欠損があるケースでは抜歯窩のBasicBasic108Quintessence DENTAL Implantology─ 0816記述用語抜歯後の期間一般に4〜8週一般に12〜16週一般に6ヵ月以上埋入時の望ましい臨床状況骨と軟組織の治癒がない抜歯部位軟組織は治癒しているが、著しい骨の治癒はともなっていない抜歯部位軟組織の治癒と著しい骨の治癒をともなった抜歯部位完全に治癒した抜歯部位はじめにインプラント埋入の時期白鳥清人 Kiyoto Shiratori静岡県開業:医療法人社団 白鳥歯科動画で学ぶ インプラント外科 基本の「き」
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