Quintessence DENTAL Implantology 2024年No.5
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第4回既存の角化粘膜幅を広げる切開・縫合/歯肉弁根尖側移動術 前回までに、抜歯にともなう硬組織のボリューム減少とMGJ(歯肉‐歯槽粘膜境)の歯冠側移動による角化粘膜幅の減少は避けることができない生理的な反応であり、これを軽減するために軟組織に配慮したリッジプリザベーションや即時埋入を行うことの効果/有用性を解説した。 今回からはすでに歯を失ってしまった部位に対する軟組織マネジメントを解説していく。インプラントを1回法で埋入する時や、インプラント埋入後の二次手術時の軟組織マネジメントについてである。 連載第1回目で述べたように、非審美領域においては3〜4mmの垂直的な軟組織の高さ、2mm以上の角化粘膜幅、角化粘膜幅舌側インプラント埋入のためには水平GBRが必要だが、術前には3mmの軟組織の高さが存在する術前MGJ頬側軟組織の高さがあるために骨頂レベルにインプラント埋入を行い、水平GBRを併用する角化粘膜幅舌側軟組織の高さが減少(3mm未満)し、角化粘膜幅も減少する→二次手術の際に、角化粘膜幅だけでなく軟組織の高さも増やさないとMBLが起きる可能な範囲で軟組織の厚みを獲得することを目指している。まずは垂直的な軟組織の高さについて解説したい。 インプラントプラットフォーム部の骨を維持するためには軟組織の垂直的な高さが必須であり、3mmを下回ると生理的な反応でMBL(辺縁骨吸収)が起こることがわかっている1〜3。軟組織の垂直的な高さが足りない場合にMBLを防ぐための対応としては、①CTG(結合組織移植術)により軟組織の高さを増す、②2mm長径のヒーリングアバットメントを連結、閉鎖創とすることで軟組織の高さを増す、③骨縁下にインプラントを埋入する、といった方法が示されている4が、筆者は治療の侵襲や期間などの面から、非審美領域においてはおもにインプラントの埋入深度でコントロールをするようにしている。この埋入深度のコントロールは非常に重要で、特にインプラント埋入と同時に硬組織増生を行う場術後MGJ頬側図1 水平GBR時にインプラントを骨頂レベルに埋入した際の問題点。術後の軟組織の変化を予想してインプラント埋入深度は決定すべきである。AdvanceSoft Tissue Management120Quintessence DENTAL Implantology─ 0828軟組織の高さ3mmはじめに増田英人 Hideto Masuda大阪府開業:ますだ歯科医院令和版 軟組織のトリセツ硬組織増生をする際に必要な埋入深度への配慮

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