要約目的:さまざまな厚さの唇側骨板をともなうソケットシールド法(SST)と従来の抜歯即時インプラント埋入法(CIIT)の間の骨保存と審美的回復を評価すること。材料および方法:前歯部領域の即時インプラント埋入を行った患者は3つの群;厚い骨壁のフェノタイプ(>1mm;SSTA群)、薄い骨壁のフェノタイプ(<1mm;SSTB群)、および厚い骨壁のCIIT法(>1mm;CIIT群)に区分された。手術前、術直後および術後6ヵ月でのX線画像および臨床写真が収集された。唇側の骨幅、唇側骨幅の変化(BWC)、唇側の骨量の変化(BVC)、ピンクエステティックスコア(PES)および併発症発生率が3群間で評価された。統計学的分析はSPSSソフトウェアを用いて行った。結果:合計60名の患者(20名/群)がこの6ヵ月間の後ろ向き研究に登録された。SSTA群のBWC(0.22〜0.30mm)およびSSTB群のBWC(0.18〜0.33mm)は、CIIT群のBWC(0.61〜0.80mm;P<0.004)よりも小さかった。SSTA群およびSSTB群のBVCは、CIIT群のBVCと比較してより低く(それぞれ24.08対21.14対54.81、P=0.004)、より大きなPES(それぞれ11.75対11.65対10.65、P=0.009)を示した。これらの患者では併発症は起こらなかった。結論:この研究の制限の中で、SSTは骨を保存し、満足な結果を達成できる信頼性が高い方法であると結論できた。SSTに関連した唇側骨壁のフェノタイプの臨床的結果およびX線学的結果に対する影響は小さかった。KEY WORDS:ソケットシールド法、従来の即時インプラント埋入法、骨の変化、唇側骨板、前歯部、審美性Int J Oral Maxillofac Implants. 2024;39(2):254‒262The International Journal ofOral&Maxillofacial ImplantsComparing Bone Alteration and Esthetic Recovery Between the Socket-Shield Technique and the Conventional Immediate Implant Technique: A Retrospective StudyLi X/Liu N/Li X/Fu G/Huang H*FOCUS ON150Quintessence DENTAL Implantology─ 0858*連絡先:Dr Hong Huang, 500239@cqmu.edu.cn 訳/松浦正朗福岡歯科大学名誉教授ソケットシールド法および従来の抜歯即時インプラント埋入法における骨の変化と審美性回復の比較:後ろ向き研究
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