QDT1月
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筆者が考える審美領域における歯冠修復治療とは、チェアサイドとラボサイドによる綿密な診査診断結果を基に、術者両者が患者の希望を共有して同じゴールを設定したうえで、互いのもつ技術を注ぎ込むものである。患者が望む審美補綴治療を行うためには、色調および形態の歯周組織との調和、周囲歯列との調和、口唇との調和、清掃性への考慮など多岐にわたる項目をクリアする必要がある。加えて、それを表現可能なマテリアルを選択することも重要であろう。 筆者の使用陶材であるGC Initial(ジーシー)は、表層付近に築盛する陶材の蛍光性が低く、内部に築盛する陶材の蛍光性が高いという、天然歯構造と同様の蛍光性をもち、明度・彩度が高い陶材が豊富という特徴をもっている。また、ジルコニア用のGC Initial Zr-FS、メタル用のGC Initial MCなど、同シリーズ内の異なるマテリアルにおいても使用方法や色調に関するコンセプトが同じであり、審美補綴に重要な歯周組織との調和や歯頚部付近の色調コントロールなどが、マテリアルに左右されることなく容易に行うことができる。 今回はこのGC Initialを使用して、審美領域に対して異なるアプローチを行った4つのケースを提示したい。特に歯周組織との調和に欠かせない補綴物のカントゥアを考慮して製作した症例である。Toward the prosthesis in harmony with periodontal tissueKatsuya SekiBeaux Arts Dental Lab co.,Ltd1F 2-8-7 Sankentyaya setagayaku Tokyo 重度の歯周病により抜歯を余儀なくされ、欠損部位に対してGBR・CTGなどの外科処置を行い、審美領域へアプローチした症例である。 特に審美領域へのインプラント補綴に対しては、診断用ワックスアップ~最終補綴物装着まで、チェアサイドとラボサイドが互いの知識や技術を注ぎ込む必要があり、もっとも困難なアプローチのひとつであると言えるだろう。歯冠ポジションより導き出されたインプラントの埋入ポジションおよび埋入深度によって、サブジンジバルカントゥアのコントロールを行った症例である。Case1Restorated:2〜2/GC Initial MCDr. Kenzo Suzuki(KENZO Dental Clinic)
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