QDT2月
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従来、保険診療における小臼歯の修復処置においては審美性に劣り、金属アレルギーも懸念される12%金銀パラジウム合金による全部被覆冠か、あるいは適応症例が限られ、長期的には着色や摩耗の問題が生じる硬質レジンジャケットクラウンしか選択肢がなく、審美性や耐久性に大きな制限があった。 しかし、昨年4月からは「CAD/CAM冠」が保険収載され、一般の臨床にも供されるようになった。保険点数も、上述の2種材料よりも大きく配分されており(本誌2014年8月号78、79ページ参照)、多くの歯科技工所が受注を開始している。この修復物は、CAD/CAM(Computer Aided Design/computer aided manufacturing、コンピューター支援による設計/コンピューター支援による製作)機器を使った最初の保険修復物である。執筆時点で保険収載から8ヵ月が過ぎたが、保険診療の修復物にまでDigital Dentistryの恩恵がもたらされるようになったことは、保険診療の歴史の大きな転換点のひとつとなるだろう。 CAD/CAM冠の最大の特徴は、CADによってデザインするために従来の手作業によるワックスアップが不要になる点である。また、歯科用CAD/CAMには口腔内で支台歯を直接計測する光学印象法を用いるシステムと、通法で製作された石膏模型を計測するシステムがあるが、CAD/CAM冠では現在のところ後者の方法のみが認められているため、チェアサイドでは支台歯形成のルールを守ること以外、印象採得から歯科技工所への発注までの流れは基本的に変わらないこともメリットといえる。 また、CAD/CAM冠に用いられる材料は専用のマシナブルハイブリッドセラミックブロックであり、執筆時点(平成26年12月現在)で4社のメーカーが保険適用の製品を発売している。すでに、この種のブロックは3M ESPE社が「LAVA Ultimate」の商品名で3年前(日本国内では2年前)に発売しており、自院では自由診療として用いた2年経過症例を経験しているが、経過は良好である(本誌2014年8月号80ページ参照)。 しかしながら、一般的に「ハイブリッドセラミック」という言葉からは長期経過中の着色や、フィラーの脱落による表面性状の変化といった臨床でのイメージが強く、通常のセラミックからは数歩劣る材料と思われてきた。しかし、現在では高分子技術の進歩により、その物性は大きく向上している。「ハイブリッド」ではあるが、従来法の、ペーストタイプのレジンを築盛・重合したものとはまったくの別物である。その組成は70~80%のセラミックスに対して20~30%のレジン成分からなり、このレジン成分がセラミック単体のブはじめに■マシナブルハイブリッドレジンの良好な辺縁適合性図1a、b マシナブルハイブリッドレジンによる修復物の適合性。現在のCAD/CAMシステムとハイブリッドレジンブロックを用い、適切な窩洞/支台歯形成を行えばこうした適合が得られる時代となった。ab

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