QDT2015年4月
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Feature article ♯2歯科衛生士から写真を借りると、補綴物に対する清掃性の大変さが実感できる。歯科技工士として、より清掃性を意識する必要性を感じる「清掃性」の平均点を上げる 清掃性向上のために歯科技工士としてまず意識したいことは、歯肉縁上のプラークについてである(図1)。 図2は、2つのインプラント補綴症例であり、プロビジョナルレストレーション製作時におけるワックスアップである。Case Aは周囲歯肉が厚く、埋入深度が深い。Case Bは周囲歯肉が薄く、埋入深度が浅い。清掃性という視点から2つの違いを検討してみると、Case Aにおいては通常のステップを踏むことで歯肉貫通形態を作っていくが、仮に歯肉をトリミングせずに細く立ち上げたならば、歯冠長が短いためにくさび状の間隙が生じ、歯ブラシの毛先はアプローチしづらくなる(図3〜6)。 一方、Case Bを見てみると、同じように細く立ち上げたとしても、Case Aの場合とは異なり、歯肉辺縁にさまざまな歯ブラシでアプローチすることができる(図7〜8)。 同じことをしているのに毛先の入りやすさの違いが生じるのはなぜなのだろうか(図9)。歯冠長の短いCase Aはカスタムアバットメントを利用し、歯冠軸面と歯肉ラインを同一平面上に近づけることで三角形のエリアを小さくすることができ、その結果、毛先が届きやすくなり歯肉縁上の清掃性の効率が高くなる。Case Bはたとえ既製アバットメントを使用しても歯冠長が長いために底辺の長い三角形のエリアが生じ、歯ブラシがアプローチできる間ラボサイドの責任間口を広げてブラシが入るスペースを確保するところから意識してみようabc92QDT Vol.40/2015 April page0530
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