QDT2015年4月
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技工物の平均点を上げる!! 後編:「清掃性」「形態構築」「色調表現」の平均点を上げる」の平均点を上げる口が広がることで毛先が届きやすくなり、清掃性の効率を上げることができると考える(図10)。この三角形のエリアを小さくするか、逆に底辺を長く取れるような工夫をしていくことに清掃性を向上させるヒントがありそうだ。そのためには、インプラントプラットフォームの位置と歯冠軸面の関係を考慮しながらアバットメントの選択をすることが必要になる(図11)。 一方、天然歯ではどうか。今回は、西村好美先生(デンタルクリエーションアート)が提唱する考えを基に清掃性向上の観点から検討してみた。図12は、ほぼ形態修正が終了した両側中切歯症例である。これに歯ブラシをあてがうと、歯ブラシの毛先は歯肉辺縁にアプローチはできるものの、それなりの強い力で押さえつけないと入らないという感覚だった。これでは、決して磨きやすいというイメージはもてなかった(図13)。西村先生より、天然歯の歯頚部に存在するコンケイブラインの形態を確実に表現していくことで歯ブラシがアプローチできる間口が開放されていくという指導を受けて実際にやってみると、清掃性が大きく向上したのが実感できた。これまで足りなかった隣接面の形態に対する意識を増すことで、清掃性は大きく変わっていくということを知った(図14、15)。 図16はグレーズを行い完成させたものとビスケットベイク時の比較である。コンケイブの形態を再現することで隣接面への間口が開放され、歯ブラシがスムーズに、そして毛先が歯肉辺縁にまとわりつくような感覚を覚え、西村先生の考え方の素晴らしさを実感することができた。同時に、歯間鼓形空隙を封鎖する位置の認識、さらに支台歯形成の重要性に気付かされ、清掃性の奥深さに感動を覚えた(図17)。図1a~d 歯科衛生士からお借りした写真。こういった写真を拝見する度に、改めて清掃性の重要さを噛み締め、歯科技工士として清掃性への意識をより高めていかなければと真剣に思う。d93QDT Vol.40/2015 April page0531

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