QDT 2015年6月
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歯科におけるCAD/CAM の現状:前編クラウンブリッジ総括 まず11ある会場全体を回って感じたのは、前回よりもCAD/CAMの展示が増えていることである。ただ前回までとは異なり、大型のミリングマシーンよりも小型化されたミリングマシーンが増えているというのが第一印象だった。3Dプリンターについても同様で、前回は大型の機械が展示されていたのだが、それが随分と小型化され、実際にその工程をデモンストレーションしているブースが目についた。 もちろん大型のミリングマシーンも展示されており、そこではチタン・コバルトクロム・ジルコニア・PMMA・ワックスなどの材料を用いて、クラウンだけでなく、インプラントガイド・矯正用装置・模型・デンチャーを次々とミリングしていた。その様子は、古い話ではあるが、レコードチェンジャーを彷彿とさせるような光景だった。もしもこれらの機器が国内のどこかに設置されて実際に稼働することになれば、筆者自身想像したくない現実が間近に差し迫っていることを実感せずにはいられない。もちろん補綴物はすべて異なるため、これらのシステムのみで製作できるわけではないのではあるが、それでも製作ステップ全体の3分の2はこういったシステムでカバーできるのではないかと想像した。 しかしながら、スキャナーと加工機を導入したとしてもわれわれの経験や、各ケースにおける的確な指示がなければ、CAD/CAMもただの高級なオーディオセットと変わらないものになってしまう。むしろ、どのようにCAD/CAMと向き合い、どのタイミングで応用するのかを考える時期にさしかかっているのではないかと感じる。今後は、導入のコストをどのようにマネージメントし、実際のマーケットとどのようにすり合わせていくのかが最重要課題になるのではないだろうか。

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