QDT2015年7月
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Feature article ♯2はじめにフレームデザインで目指すところ CADソフト(以下、CAD)でジルコニアフレームをデザインするにあたり、問題になってくるのがその精度である。理想に近いフレームデザインを行うには、ケースを担当する歯科技工士がワックスアップしたフレームをDスキャン(ワックススキャン、ダブルスキャンともいう)してデザインする方法が最良であると考えられる。しかし弊社では、多い時で1日に100本前後のジルコニアフレームを製作しており、作業工程上、そのすべてをワックスアップで対応するのは困難である。よって、通常はCADでデザインすることになるが、歯科技工士によって製作する補綴物の形態が異なるように、オペレーターによってフレームデザインに違いが生じる。ポーセレンの築盛歴が長い歯科技工士がCADでフレームをデザインすれば、先に述べたDスキャンでデザインを行う方法に近い精度が得られるかもしれないが、そのようなオペレーターは居ないの どのようなフレームデザインが良いのか? これは歯科技工士によって千差万別、さまざまな意見があるのではないだろうか。弊社では現在、セラミストが10名、CADに携わる歯科技工士が6名在籍している。たとえばこの16名に、同一ケースでフレームのデザインを行ってもらった場合、同じフレームができるかと言えば、それは難しいと言わざるを得ない。それは歯科技工士によって経験の差があること、フレームに対する考え方が異なること、さらに、仮に同じケースでも築盛担当者によって築盛量が変わってくる(築盛量が少なくても、色が出せるなど技術を有していが現状である。また、詳しくは後述するが、弊社ではCADオペレーターは新入社員を含む経験の浅い歯科技工士が担当することが多い。その経験が浅い歯科技工士がデザインしたフレームは、当然ながら至らない点が出てくる。そこで、だれがデザインしても大きな差が出ないようにデザインのポイントを整理する必要が生じる。また、ある程度の数量をこなすには、各ステップにおける目標スピードも必要になってくる。 今回は、これからCADを始める、もしくは始めて間もない経験の浅い歯科技工士の皆様に向けて、弊社のCADデザインのコツをまとめさせていただいた。なお、本稿において使用しているCAD/CAMシステムは、クラレノリタケデンタルのカタナシステムで、スキャナーはD700/D800(3Shape)、ミリングマシンはDWX-50(ローランド ディー.ジー.)である。るなど)ことがその理由である。 弊社では効率化のため、築盛を担当する「ポーセレンチーム」と、フレームデザインを行う「CADチーム」とに別れて業務を行っている。であるから、先述のように歯科技工士によってフレームデザインに違いが生じてしまう現象は避けられないものの、その違いを最小限に留める必要性に迫られることになった。そこで、社内でフレームデザインを行うにあたり、何を目標に進めれば良いか、その基準を設けるに至った次第である。 まず、フレームデザインにおける、基本事項3点を78QDT Vol.40/2015 July page0990
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