QDT8月
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第1回 パーシャルデンチャーとは?123ラント治療ができないから妥協的かつ場当たり的な補綴装置でも仕方がない”ではなく、“インプラント治療ができなくても十分に口腔内で機能する補綴装置”を提供しなければならないと筆者は考えており、そのためには、パーシャルデンチャーという補綴装置を今一度進化させなければならないと決意している。 また、筆者個人としては、多数歯欠損に対してインプラント治療を行った後に、“介護”が必要になった親族がいたという経験も、“パーシャルデンチャーをもっと進化させなければいけない”という決意を新たにする要因になっている。インプラントアシストの有効性と、新たな“落とし穴” しかし、インプラントとパーシャルデンチャーは対立するものではない。近年は、遊離端欠損の最遠心にインプラントを埋入して支持(サポート)する“インプラントがアシストするパーシャルデンチャー”や、無歯顎に数本のインプラントを埋入してアンカーとした“インプラントオーバーデンチャー”による対応も多くなっている(図1)。しかし、インプラントには歯根膜がなく、相当に大きな力が加わる。筆者はこれまで、何度も“オーバーデンチャーの落とし穴”に嵌り、苦い経験をしてきた。こういった補綴装置に加わる“力”によって生じた崩壊は壊れてみて初めて発覚することが多く、また、その原因である“力”への対応をしないまま、いくら表面だけを取り繕っても崩壊は再び繰り返すことになる。こういった経験は読者の方々もあるであろう。いずれにせよ、機能時に補綴装置に加わる“力”を考え、それをコントロールしなければ永続性には繋がらないのである。 本連載においては、さまざまな要素を考慮しながら補綴装置として立体化させていく過程を、筆者なりに解説していきたい。図1a、b 多数歯欠損において不利な遊離端欠損のケースの遠心にインプラントを埋入し、咬合支持をアシストするようなケースも増えてきている。abQDT Vol.40/2015 August page1189
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