QDT 2015年10月
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動揺歯の補綴を考える(後)3131 前号では、「動揺歯の補綴を考える」際にもっとも重要な要素である歯周治療を話題の中心に、一次固定を行った症例を提示させていただいた。後半では一次固1-1.一次固定の定義と特長 一次固定とは、支台歯相互の連結固定効果を発現させるため、連結した固定性補綴装置をセメントにて合着し装着する方法で、クラウン・ブリッジなどが代表的な装置である。 本稿では動揺歯の固定を前提にしているため、支台歯の骨植が良好で動揺のない歯牙どうしを連結・固定する場合より、その適応条件は厳しくならざるを得ない。とくに欠損歯列の場合、欠損が長くなるに比例してブリッジフレームのたわみは大きくなる。さらに支定と二次固定の特徴を解説した後、固定方法の選択に悩まされた症例について経過を交えて提示させていただく。台歯同士の動揺度に差がある場合は、ブリッジフレームの動きはより複雑なものとなる(図1a)。また、補綴空隙が十分に確保できない場合、ブリッジフレームの厚みが薄くなりたわみが大きくなる(図1b)。また支台歯軸面の長さも十分に確保できないことも多い。これらは支台歯にとって、合着セメントの溶出・二次う蝕の原因になり、ブリッジフレームにとっては、本体および前装部分の破損の原因となる可能性が高い。また強い咬合力やパラファンクション、特定部位に応力の集中する(剪断応力など。図2)場合にもブリッジフレームにたわみを生じやすい。このように「動揺歯の補綴:欠損歯列」の場合、ブリッジにて長期安定を1.一次固定と二次固定、それぞれの特徴一次固定に用いるブリッジのたわみについて図1a、b ブリッジは、その長短にかかわらず必ずたわむ。欠損部の長さ(X)に対するたわみを1とすると、長さが2倍になれば8倍、3倍になれば27倍となる。欠損部の垂直的な厚み(X)に対するたわみを1とすると、その厚みが1/2になれば8倍たわむ。支台歯に動揺があればそのたわみはより複雑なものとなる(本図は参考文献4より引用・改変)。AABBCCXX2X3X荷重たわみ1たわみ1たわみ8倍たわみ8倍たわみ27倍たわみ27倍???動揺歯のイメージ3X2Xたわみ1たわみ8倍荷重X1/2XabQDT Vol.40/2015 October page1429
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