QDT 2015年11月
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Feature article ♯2工業界でスーパーエンジニアリングプラスチックとよばれるPEEK PEEK材はレジン、つまり樹脂であり、熱を加えると軟らかくなる性質をもった“プラスチック”の一種である。このPEEK材は、普段見かけるプラスチックより極めて高強度で耐摩耗性に優れ生体親和性があり、かつプラスチック特有の適度な弾性を有している。PEEK材は工業界でスーパーエンジニアリングプラスチックとよばれ、航空機・船舶・食品工場・半導体製造などで幅広く使用されている(図3)。また従来では過酷な環境であるために金属しか使えなかった部品の置き換えとしても成果を上げており、歯科の分野でもインプラントのテンポラリーパーツ等にすでに用いられている。 PEEKという名前は素材の性能を決める構造を表している。「P=Poly=たくさんの」、「E=Ether=エーテル結合」、「K=Ketone=ケトン結合」を表していて、六角形のベンゼン環をエーテルとケトンがE・E・Kの順に繋がって長い鎖を作り、絡み合うことで強度と弾性をもったレジンを構成している(図4)。そしてこのPEEK材を改良したPEKK材が歯科材料として登場し、3文字目が“E”から“K”に置き換わった。これによりPEKK材はより強固な構造をもち、結果、改良前より優れた性能をもつことになる(図5)。図3 業界を問わず多種多様に実用されている高性能プラスチック。図4 高強度レジンPEEK、PEKKの組成図。図5 プラスチックのグレードマップ。80QDT Vol.40/2015 November page1628
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