QDT 2015年11月
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レジン材料の進化と歯科での応用―高強度レジンPEEK、PEKK、そしてPekkton―PEEKを改良して歯科材料にしたのがPEKK PEKK材は普及しているプラスチック材よりさらに耐熱性が高くなっている。プラスチックは温度が上がると強度が低下する性質があるため、強度を保てる耐熱温度が設定されている。日常で目にするプラスチックの耐熱温度は80~120℃程度であるため、お湯や揚げ油等で加熱されると軟らかくなり変形してしまう場合や、温度変化を繰り返すことで劣化してしまう可能性がある。また一部がわずかに溶けて食物に含まれてしまう恐れがある。しかしPEKK材の耐熱温度は160℃と高く、人体でもっとも高温にさらされる口腔内でも変形や劣化を考えずに使用できる素材である。 そして歯科において重要な生体親和性という点でも、ISO10993に則った52週間を超える生体適合性試験をクリアし、アメリカFDAのライセンスを取得している。また金属アレルギーの心配がなく、口腔内での長期間の使用にも耐えられる素材である。そして曲げる力が働いたときにチタンの20倍、ジルコニアの40倍も柔軟に曲がるという適度な弾性率をもっているため、歯根膜がなく強く深く噛みこんでしまう恐れのあるインプラント補綴に使用することで、PEKK材の柔軟性が緩衝材のように働くと思われる。骨に埋入されたインプラント体に補綴物が原因で無理な力がかかることは避けたい。それを考えるとメタルやジルコニアのフレームに代わる機能性をもった素材ともいえる(図6〜8)。図8 多種歯科材料の弾性係数・曲げ強さ(図3~8はCendres Metaux社提供)。図6 骨に近い物性をもつPEKK材。図7 骨に近い物性を歯科に応用した際の力のかかり方。81QDT Vol.40/2015 November page1629

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