QDT 2015年12月
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歯科医師のための 診断用ワックスアップ ―その見どころとポイント―71合面形態が長期間にわたって維持され、できるだけ変化が起こりにくくなる形態的な工夫が必要になる。臼歯咬合面の補綴形態は天然歯形態と完全に同じではなく、対合歯との咬合が安定し咬頭干渉が生じにくい形態、なおかつ咬合調整も行いやすい形態とする必要がある(図3~8)。 今回は第一大臼歯を中心にワックスアップの手順と症例を交えながら説明する。図1a、b 大臼歯の1級窩洞におけるコンポジットレジンによる修復治療例。修復範囲が少なければ咬合に大きな問題が出にくいので、診断用ワックスアップを必ずしも必要とせず、解剖学的形態をイメージして口腔内で直接充填を行うことができる。残存する隆線や裂溝から解剖学的形態をイメージし、対合歯との咬合と調和する形態の再現を試みる。術中でのイメージが難しければ事前に診断用ワックスアップを行い、形態のイメージ作りをすることも有効である。図2a~c 天然歯形態と本多正明先生・西村好美先生・石三晃一先生考案の補綴形態。三角隆線のクレストの走行方向と咬頭が通り抜けるスペースの違い。補綴歯は咬合接触点を斜面で小さく接触させ(0.3~0.5mm)、三角隆線のクレストを曲げることにより接触点の近遠心の斜面の角度を緩くし、咬頭が通るスペースを十分に確保し、咬合干渉が生じにくいようにしている。この下顎の機能運動時に上下顎臼歯の機能咬頭が咬合干渉なしに動けるスペースをファンクショナルルームと呼ぶ。図2a 天然歯形態。図2b 補綴形態。図2c 咬合接触点とファンクショナルルーム。診断用ワックスアップを行わずにコンポジットレジンによる直接修復を行った症例abQDT Vol.40/2015 December page1761

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