QDT 2016年1月
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歯科医療の中でも、とくに社会情勢や技術・材料の進化の影響を受けやすい補綴・修復の世界。人口動態はもちろんのこと、経済状況やファッションのトレンド、そして使用材料の進化などが複雑に絡み合い、それらが患者のニーズとしてチェアサイドに伝わってくる。また、歯科医師自身を取り巻く環境も、歯科大学のカリキュラムの国家試験合格率への偏重、歯科医師会の組織率低下、そして社会保険歯科診療をめぐる諸問題など、時々刻々と変化してきた。 こうした中、小誌「QDT Art & Practice」では、「step ahead」と題した将来を担う世代の歯科医師・歯科技工士に対するインタビューを2010年から5年間にわたって継続している。われわれにとり、このコーナーを通じた40名以上の意欲ある若き歯科医師たちとの出会いを経て見えてきたのは、現在活躍中の団塊の世代やそれ以上の世代の歯科医師とは異なる、これから中堅の立場を担っていく世代の空気感。海外の情報を渇望してきた時代から、インターネットを通じて自ら欲する情報を得られる時代へ。取り扱いの難しい器械・材料を先達から伝授されたテクニックで使いこなしてきた時代から、より簡便で高性能な材料の恩恵を受けられる時代へ。「いかに削るか」を考える時代から、「いかに残すか」が重視される時代へ。そして何より、歯科医師と患者との垣根がますます低くなっていく時代へ……。歯科医師の世界を構成するさまざまな世代の中でも、「Step Ahead世代」には今、独特の景色が見えているように感じられる。 そこで本企画では、これまでに同インタビューを受けていただいた歯科医師から7名を地域別にピックアップし、ご自身の補綴・修復治療にまつわるアンケートにご回答いただいた内容をそのままご紹介する。step aheadシリーズ・歯科医師編の5年間の集大成として、また、現在の補綴・修復治療の傾向をとらえ、この先を見据えていくためのヒントとなれば幸いである。(編集部)企画趣旨佐藤洋司/佐氏英介/成田宗隆/三箇 満/中元芳郎/井上 謙/榊原陽一郎(掲載順)補綴・修復の今Feature Article♯1 新春アンケート企画世代に聞く、
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