QDT 2016年1月
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78連載 GPのための「なぜ、経口摂取なのか?」78連載 GPのための「なぜ、経口摂取なのか?」―食べられる口づくりのために歯科ができること―連載開始にあたって 超高齢社会となったわが国では、慢性疾患をもちながら療養生活を続ける高齢者が増加している。そのような患者の中で経口での栄養摂取が十分でない場合には代替栄養法による栄養管理が行われることが多い。もともと一時的な栄養摂取方法として開発された代替栄養法であるが、半永久的な方法として使用されることが多いこと、加えて代替栄養法の開始と同時に経口摂取が禁じられるケースが少なくなく、ときに患者の摂食嚥下機能と乖離した栄養方法が継続されている場合がある。「口からおいしく食べる」は歯科医療の究極の目的のひとつであろう。そこで今号より、高齢患者における「経口摂取」をキーワードに論じてみたいと思う。今回は代表的な栄養補給法について述べる。1.経口摂取のメリットとデメリット 経口摂取はもっとも生理的な栄養摂取方法で、多種多様な栄養素を摂取でき、またもっとも安全な栄養摂取法である。さらに、匂う、噛んで味を感じる、見た目を楽しむという、癒しにもつながる心理的な効果が大きい。このように数々のメリットがある経口摂取であるが、意識障害や、嚥下機能に障害がある場合は摂取が困難なことが多い。また、食欲が低下した症例や認知症で食事摂取が困難な症例では、十分なエネルギー量・タンパク質量を摂取できず、低栄養となるリスクがある。第1回 経口栄養のメリットおよび各種代替栄養のメリット/デメリット歯科医師・伊東歯科口腔病院熊本県熊本市中央区子飼本町4‐14廣瀬知二 Tomoji Hirose/浅野史朗 Shirou AsanoQDT Vol.41/2016 January page0078
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