QDT 2016年2月
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マイクロスコープ支台歯形成入門1313 近年、歯科医療の分野でもマイクロスコープが普及し、臨床に導入される先生方が増えている。それは、より精密で繊細な治療操作と治療結果が必要になってきていることを多くの先生方が理解され、実際に自分自身の臨床にマイクロスコープを導入したいという意欲の表れであると感じている。また、若手の先生方が、そのようなマイクロスコープを設置されている歯科医院に勤務される①マイクロスコープを使う意義と、ルーペとの違い ヒトは、裸眼では遠近の調整を水晶体の厚みを変化させることで行っている。この調整機能は若年者のほうが速く、若いときにマイクロスコープを導入するほうが早く使いこなせるようになる。また、間違った使い方をしないかぎり視力が落ちることはない。 マイクロスコープを使用して支台歯形成を行うことの意義は、補綴治療の精度を向上させることにある。人間ことも多くなってきており、臨床経験が浅いうちから精密な治療を心掛けて経験を積んでいけることは、非常に喜ばしいことであると思われる。 そこで今回は、若手の先生方がマイクロスコープを導入・使用するにあたって、もっとも取り組みやすいと思われる支台歯形成について、マイクロスコープを使用する意義を踏まえながら説明させていただきたい。の肉眼での2点識別域は200μm(0.2mm)であり、補綴物の適合精度やセメントスペース、歯根膜の感覚閾値などを考慮しても、裸眼で補綴治療を行うことには限界があり、拡大することによってそれまで見えていなかったものが見えてくる。支台歯模型のトリミングや確認においても、歯科技工士は技工用拡大鏡やコンピュータのモニターで数10倍に拡大して行っているため、その精度に合わせるためには歯科医師も拡大視野で行うことが必要とされる。はじめにマイクロスコープの基礎知識眼接眼レンズ双眼対物レンズ対象物眼接眼レンズ双眼対物レンズ対象物単眼対物レンズプリズム部Keplerian OpticsとGalilean Opticsとは?図1 Keplerian Optics。ルーペの光学系。左右視軸を調節して焦点を合わせる。調整が不十分であったり、長時間の使用により眼精疲労を起こす可能性がある。図2 Galilean Optics。マイクロスコープの光学系。焦点は無限遠で、視軸補正の必要がない。眼精疲労の可能性は低い。QDT Vol.41/2016 February page 0187

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