QDT 2016年3月
7/8
72Feature article ♯272 表1は、トリニア・ジルコニア・チタンの物性等の比較である。トリニア(図1)とはBicon社が開発し、松風が販売しているCAD/CAM用の材料で、シート状に織り込んだグラスファイバーに樹脂を含浸させたグラスファイバー強化型レジンである(図2)。強度的にはジルコニアやチタンに劣り、特にカンチレバーが不可となっているためにケースを選ぶ。歯冠材料としては、トリニア・ジルコニア・チタンすべてレジンの直接築盛が可能で、加えてジルコニアとチタンに関してはポーセレンの直接築盛が可能である。トリニアはレジンであるため熱に弱く、ポーセレンを直接築盛することはできない(別途製作したセラミッククラウンやフルジルコニアクラウンを、プライマー処理の上でフレームに接着することは可能)。しかし、比重がジルコニアの1/3以下と格段に軽いことは大きな魅力である。 また、インハウスでの製作を考えたとき、ジルコニアはミリング後にシンタリングが必要なため時間が掛かること、さらにマージンの調整時もチッピングをし01インプラント上部構造におけるフレーム材料についての私見色曲げ強さ比重カンチレバー平均市場価格インハウスでの加工トリニアアイボリー405Mpa1.7不可¥50,000手軽ジルコニアホワイトなど1,180Mpa6.0可¥45,000ミリング+シンタリングで時間が掛かるチタン金属色1,360Mpa4.5可¥30,000小型のミリングマシンでは困難表1 トリニア・ジルコニア・チタンの比較(曲げ強さと比重の数値は、トリニア・ジルコニアは松風の独自試験から。チタンの曲げ強さはTi-6Al-4V 合金〔大同特殊鋼〕を測定した今上らの文献1より抜粋。平均市場価格は筆者が調べた250mmディスクの価格〔2015年10月現在〕)。QDT Vol.41/2016 March page 0384
元のページ