QDT 2016年9月
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Feature article ♯11616 高強度セラミックスであるジルコニアと二ケイ酸リチウム(IPS e. max、Ivoclar Vivadentほか)が臨床に広く普及し、メタルフリー修復が一般的となって久しい。 ジルコニアは主にフレーム材として用いられ、築盛用ポーセレンを前装することで高い審美性を再現していた。しかしながら、咬合関係の厳しい臼歯部などで前装用陶材の破損も報告され1、2、これを受けて前歯部ほど審美性の求められない臼歯部では従来のジルコニアより透過性のある透光性ジルコニアを用いたフルジルコニアクラウンが臨床に登場した。一方、e. maxは従来の長石系陶材と比較して高強度であることからジルコニア同様フレーム材としても用いられ、また高い透過性を有していることから陶材を築盛せずステイン処置のみでも審美性を得ることが可能であった3、4。フルジルコニアクラウンやe. maxのステイン法のように単一の材料で補綴する修復方法をモノリシックレストレーションと称する。 最近、透光性ジルコニアよりもさらに透過性を向上させた高透光性ジルコニアが発売され、審美的なフルジルコニアクラウンへの期待から脚光を浴びており、すでに米国では急速に一般臨床での応用が進んでいる。高透光性ジルコニアの登場にともない、今後は今まで以上にモノリシックレストレーションの普及が期待されているが、モノリシックレストレーションにおけるe. maxとジルコニアの具体的な両材料の比較についての報告は少ない。そこで、本稿では文献的考察を中心に透光性ジルコニアとe. maxについて比較を行い、モノリシックレストレーションにおける有益な情報を提供することを目的とする。はじめにFeature article ♯1モノリシックレストレーションにおける透光性ジルコニアと二ケイ酸リチウムの比較歯科医師・原田歯科医院/日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第2講座非常勤講師/東邦大学医学部口腔外科客員講師神奈川県横浜市緑区霧が丘5‐25‐5原田光佑 Kosuke HaradaQDT Vol.41/2016 September page 1224

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