QDT 2016年9月
4/8
チェアサイドCAD/CAMで製作した臼歯部長石系セラミッククラウン12年経過の臨床成績:ショルダークラウンとエンドクラウン33はじめに この数年の間に、チェアサイドでCAD/CAMオールセラミックを日常的に製作することは、それが歯科技工所経由のものであってもミリングセンター経由のものであっても真の意味で開業医レベルの選択肢へと成長した。デジタル的に記録された支台歯のデータ(例:CEREC、E4D、Lava、Cares)1を用いてクラウンやコーピングを加工するさまざまなCAD/CAMシステムが登場している。CEREC CAD/ CAM法2の基本的な考えかたは、1回の来院でセラミック修復物を製作し装着するということにある。長石系セラミックを用いたCEREC1によるセラミックインレーとアンレーの長期的成功3-5により、CERECによるクラウンを含む治療の選択肢が拡大した。 2000年にさらに進化したCEREC3では操作性が向上し、開業医が日常レベルで、チェアサイドでクラウンの直接製作が可能になり、比較的短時間のうちに患者に装着できるようになった6。CAD/CAM “エンドクラウン”の製作が可能になったのは、機能が拡大し冠の内面を機械加工できるようになった1998年のCEREC2の理論に基づいている7。CAD/CAM “エンドクラウン”(ポスト付き全部冠)はPissis8が開発した金属性のポスト&コアの代替法で、従来のモノブロック・テクニックを変化させた。さらに、エッチングしたCAD/CAM長石系セラミック修復物への接着の実験的結果7、9から、接着されたエンドクラウンは長期の成功を見込んだ臨床応用が可能なことが示唆された。今日の研究の目的は、CEREC3で製作した長石系セラミック製臼歯部クラウンのうち、ショルダークラウンとエンドクラウンの12年にわたる臨床成績を評価することである。材料と方法患者選択 対象は個人開業医において個別に来院し、診断の上で旧補綴物の新製または破折歯の修復が必要とされた患者55人(女性32人、男性23人)であった。平均年齢は53歳(25~79歳)で、治療の選択肢に関して従来法のメタルセラミックスとオールセラミックCAD/CAM冠について説明し同意を得た。全患者の口腔衛生状態は良好で、歯科医院の基準に基づき口腔衛生・リコールを遵守した。 65個のCAD/CAMクラウンが断続的に55人の患者に装着された。すなわち、ショルダークラウンが40個、エンドクラウンが25個であった。これらは、下顎大臼歯24例、上顎大臼歯17例、および上顎小臼歯が15例と下顎小臼歯が9例である(表1)。フォローアップ時点でのすべてのCAD/CAMクラウンの使用期間は9年から12年2ヵ月の幅をもち、平均10年8ヵ月であった。臨床手順 すべてのCAD/CAMクラウンはCEREC 3 Red Cam(データ採得ユニット)とCEREC 3切削ユニット(Sirona)で製作された。53例でクラウンソフトウェア(Version 1.20 R800)の機能モードを使用し、12例で相関モードを使用しCERECクラウンを設計表1 調査開始当初のCEREC CAD/CAMクラウン。ショルダークラウンには最小限の形成を行った32例の生活歯と、従来の古典的形成を行った8本の根管充填歯が含まれる。CEREC CAD/CAMクラウンの分布クラウンの種類大臼歯n=41小臼歯n=24合計上顎下顎上顎下顎ショルダークラウン*81312740エンドクラウン**9113225合計172415965* ≈⦆1.2mmショルダー、12°テーパー** ≈1~2mmショルダー、歯髄腔内窩洞(図1)QDT Vol.41/2016 September page 1241
元のページ