QDT 2017年6月
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「Max Bosshartスペイン研修 総義歯ドクターコース」より学んだ総義歯製作法とその応用〔図3〕を基本としたダイナミック印象法を取り入れた機能印象採得と顎位のリハビリテーション、形態(印象体)と機能(顎位)を連動させた総義歯形態の製作である(図4)。その後、生体の顎関節機能に調和したCondylator®咬合器の使用とGerber theoryであるレデュースドオクルージョンの要素を取り入れた人工歯排列を行った結果、顎堤吸収が高度に認められる難症例の患者に対し、良好な結果を得られたため、ここに報告する。■ 症例 ■患者概要患者:73歳、女性(図5)。主訴:2015年7月、下顎前歯部ブリッジの違和感にて来院。慢性根尖性歯周炎にて保存不可能と診断し抜歯に至る。それにともない、今後長期使用できる総義歯の新製を希望された。全身疾患:なし。生活歴:夫と2人暮らし。生け花、語りのボランティア、ゲートボール、旅行等を趣味とし、町内会等の活図3 基礎維持と閉鎖維持(参考文献1より引用・改変)。図4 深水式治療用義歯の3つの特徴。図1 銀座深水歯科総義歯臨床実技コース風景。図2a 講演中のBosshart先生(左)とAramendía先生。図2b 質問する筆者とAramendía先生。深水式治療用義歯の特徴① ダイナミック印象(形態)② 顎位のリハビリテーション(機能)③ 形態(印象採得)と機能(咬合採得)を連動させた義歯形態の製作唾液による接着維持被圧変位を印象体に反映することで起こる気圧差による物理的維持基礎維持エリア・咀嚼粘膜総義歯が脱離しようとした際に義歯床辺縁から大気が流入しないよう動き、義歯床下粘膜と外気部との気圧差が生じることで得られる物理的維持内側弁外側弁閉鎖維持エリア・被覆粘膜基礎維持エリア基礎維持エリア基礎維持エリア閉鎖維持エリア閉鎖維持エリア閉鎖維持エリア閉鎖維持エリア105QDT Vol.42/2017 June page 0955

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