QDT2020年9月号
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64Feature article #2よりシンプルにモノリシックジルコニアクラウンを製作するために「経験と感覚」に左右されないラボとして安定したクオリティを目指してFeature article #2松山真也SUNS Dental Laboratory大阪府大阪市中央区神崎町2-24 ワウズワン2F 今月の「MASTERPIECE」ではレイヤリング法で製作した前歯部の審美症例を供覧させていただいた。こういったレイヤリング法による補綴装置の需要がある一方で、近年の歯科界ではモノリシックジルコニアクラウンの需要も非常に高まってきている。これはマテリアルの進化により、モノリシックジルコニアクラウンでも審美的に優れた補綴装置を製作できるようになったことも大きく影響している。それにともない、たとえ臼歯のモノリシックジルコニアクラウンにおいても、以前と比較して一定以上のクオリティが求められる時代になってきているという実感をもっている。 筆者のラボでもそうであるが、何人かのスタッフを抱えているラボの場合、モノリシックジルコニアクラウンはレイヤリングクラウンよりも比較的経験の浅いスタッフが担当することが多いのではないかと思われる。確かにステイニングのみで製作できるモノリシックジルコニアクラウンはレイヤリングクラウンよりも工程がシンプルになる。しかし、実際の臨床において常に安定したクオリティの補綴装置が製作できるのかというとそう簡単な話ではない。図1は筆者自身がモノリシックジルコニアクラウンの製作経験が浅い時期に製作した₆のクラウンである。患者および歯科医師の了承を得られたために再製作にはならずに口腔内に装着されたものの、装着後の写真には違和感を覚えた。そしてその違和感はこの症例に限ったことではなく、多くの症例で感じていた。「これが臨床」と言えるはじめに講演者論文講演者論文QDT Vol.45/2020 September page 1186

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